ベトナム、南部メコンデルタ地域初のハイテクパーク設立が決定
(ベトナム)
ホーチミン発
2026年10月01日
ベトナム南部のカントー市人民委員会は9月22日、「カントーハイテクパーク設立に関する決定第4902号/QD-UBND」を公布し、同市オモン区(注1)にハイテクパーク(注2)を設立することを決定した。南部メコンデルタ地域(注3)では初めて建設されるハイテクパークであり、研究開発(R&D)や技術開発、スタートアップ支援、高度人材の育成などを担う拠点として整備する。
同パークでは、バイオテクノロジー、自動化技術、新素材技術、エネルギー技術、ポストハーベスト技術(注4)の5分野を投資誘致の重点対象とする。農水産業が盛んで、脱炭素化や気候変動への対応が課題となるメコンデルタ地域の特性を踏まえ、高度な農水産物加工技術、次世代農業機械、再生可能エネルギー、気候変動への対応技術などの導入を促す。
計画面積は200ヘクタールで、将来の拡張用地として100ヘクタールを別途確保する。200ヘクタールのうち、ハイテク・戦略技術を活用した生産エリアに94.8ヘクタール、研究開発、人材育成、スタートアップ支援のエリアに31.6ヘクタール、緑地・水域に20ヘクタールを割り当てる。このほか、交通・駐車場、管理・運営、サービス・支援、基幹インフラの各エリアを整備する。投資総額は約5兆520億ドン(約308億円、1ドン=約0.0061円)を見込んでおり、市予算から約1兆4,380億ドン(全体の約28%)、外国直接投資(FDI)やODA、民間投資などの予算外資金から約3兆6,140億ドン(約72%)を調達する計画だ(「サイゴン解放電子新聞」9月24日)。
同パークは、2026~2028年に法的な手続き、管理組織の設置、関連計画の承認、用地取得、技術インフラの整備に着手する。2028~2030年に用地取得とインフラ整備を継続し、2030年以降の本格稼働と企業・研究機関の誘致を目指す。
今回のハイテクパーク設立は、カントー市が進める産業高度化の具体策と位置付けられる。2026年5月に承認された同市総合計画では、メコンデルタ地域の中核都市として、加工・製造業やハイテク農業、物流、研究開発などの分野を強化する方向性が示されている。ハイテクパークの整備により、地域の農水産資源と研究開発、加工・製造業を結ぶ産業集積が進めば、食品加工・包装機械、工場自動化、農業機械、省エネルギー設備、環境技術などに強みを持つ日本企業にも、設備供給や技術連携の機会が広がる可能性がある(注5)。
(注1)カントー市オモン区は、カントー国際空港の北西に位置する。空港北部には工業団地も立地しており、ハイテクパーク予定地は空港から11キロの距離にある。
(注2)ハイテクパークは、政府によって設立された工業団地で、研究開発・人材教育センター、創業支援(インキュベーション)施設を有する。
(注3)ドンタップ省、ビンロン省、カントー市、アンザン省、カマウ省の1市4省を含む地域。
(注4)ポストハーベスト技術とは、農水産物の収穫・水揚げ後に行う、保存、選別、加工、包装、輸送などに関する技術のこと。
(注5)カントー市の投資環境の詳細については、ジェトロ調査レポート「ベトナム南部投資環境調査」の61ページから67ページを参照。
(小林真龍)
(ベトナム)
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