ASEAN日本人商工会議所連合会からAJCEP改定を要望、ASEAN事務総長との政策対話で

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

バンコク発

2026年10月14日

ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)は9月18日、フィリピン・マニラで、カオ・キムホンASEAN事務総長との第18回対話を開催した。日ASEAN経済連携による現地への貢献を説明するとともに、政策上の要望書(英語本文PDFファイル(376KB)・日本語仮訳PDFファイル(1.5MB))を提出した。

日系企業の経済貢献をアピール

ASEAN10カ国の日本人商工会議所(総会員企業7,420社:2026年8月時点)を代表する団体として、FJCCIAからは下田茂議長(フィリピン日本商工会議所会頭)らが出席。経済産業省や東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)も参加した。ジェトロが対話を仲介・調整した。

下田議長は、会員企業向けアンケートに基づき、現地日系企業の48%がASEAN拠点の戦略的重要性をより強く認識していると答え、52%が現地での投資拡大を実施または検討していると報告した。また、81%が現地人材を役員や部門責任者に登用していることなどを紹介し、日系企業は単なる投資家ではなく、地域社会に根を下ろした「ASEAN市民」であると強調した。

その上で、下田議長から、日ASEANの経済連携を一層推進するための政策提言として、(1)サプライチェーン、(2)グリーン・循環経済、(3)デジタル経済・人工知能(AI)、(4)包摂的成長、の柱からなる要望書を提出した。

第1の柱では、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)の改定のほか、模倣品・密輸品対策やアンチダンピング税などの不正・迂回貿易への対応を盛り込んだ。アンケートでは、日ASEAN間の関税引き下げや原産地規則・税関手続きの改善に加えて、経済安全保障(重要物資など)や環境(再生可能エネルギーの普及など)・デジタル(越境データ連携など)分野といった現代的な課題への対応を含めて、9割超の企業がAJCEP改定を通じたビジネス環境の改善を求めている。

第2の柱では、リサイクル材利用に関する基準の共通化やエネルギー貯蔵・輸送能力の強化、自動車分野でバイオ燃料や水素を含む「マルチパスウェイ」による脱炭素化を提案した。第3の柱では、11月に署名予定のASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の完全な実施に向けた支援、AIにおいて企業の予見可能性を高めるガイドラインの早期導入を求めた。第4の柱では、高度人材や企業内転勤者向けのASEAN共通ビザの指針や、主要空港での自動化ゲートのビジネス渡航者への開放などを要望している。

FJCCIAからの説明に対して、カオ事務総長は、アンケートを引き合いに、日系企業の長期的なASEANへの関与を評価した。ASEANのバリューチェーンは、日本の経験や研修、能力構築などのインプットに支えられており、「メード・バイ・ジャパン」の貢献が大きいと述べた。また、要望書で示された各分野に対して、ASEANのルール形成などの取り組みを紹介するとともに、ルールの実施段階における継続的なフィードバックをFJCCIAに求めた。

本対話の結果は、同じくマニラで9月20日に開催された第32回日ASEAN経済大臣会合(AEM-METI)でも報告された。AEM-METIの共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、AJCEPについては、サプライチェーン強靭(きょうじん)化などの協定の更新に向けた、議論の進展を歓迎する声明が盛り込まれている。

写真 カオ・キムホンASEAN事務総長ら対話出席者による集合写真(ジェトロ撮影)

カオ・キムホンASEAN事務総長ら対話出席者による集合写真(ジェトロ撮影)

(藪恭兵)

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

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