インド政府、全国約27万の自治体で金融包摂政策を開始

(インド)

ムンバイ発

2026年10月27日

インド財務省金融サービス局は10月21日、全国規模の金融包摂政策「Financial Inclusion Saturation Campaign」を開始した(添付資料参照)。同政策は12月31日まで実施され、全国約27万のグラム・パンチャヤット(村落自治体)および都市部の地方自治体を対象に、銀行口座や保険、年金などの金融サービスの普及と利用促進を図る。

今回の政策では、銀行が各地で特設窓口を設置し、金融サービスへの加入促進を進める。具体的には、プラダン・マントリ・ジャン・ダン・ヨジャナ(Pradhan Mantri Jan Dhan Yojana:PMJDY、注1)と呼ばれる金融包摂向け銀行口座の開設に加え、生命保険制度であるプラダン・マントリ・ジーバン・ジョティ・ビマ・ヨジャナ(Pradhan Mantri Jeevan Jyoti Bima Yojana:PMJJBY、注2)、傷害保険制度のプラダン・マントリ・スラクシャ・ビマ・ヨジャナ(Pradhan Mantri Suraksha Bima Yojana:PMSBY、注3)、公的年金制度のアタル・ペンション・ヨジャナ(Atal Pension Yojana:APY、注4)への加入促進を実施する。あわせて、既存口座の本人確認手続きの更新や口座情報へのアーダール(国民識別番号)の登録、預金口座や貸金庫などの受取人情報の登録・更新なども進める。

また、金融サービスへの理解促進を目的として、金融教育やデジタル詐欺防止に関する啓発活動も行う。さらに、農業向け信用制度(Kisan Credit Card:KCC)や農作物保険制度への加入促進も実施し、農村部における金融サービスへのアクセス向上を目指す。

インドでは2014年に開始されたPMJDYを中心に金融包摂が進展してきた。同制度は銀行口座を持たない国民に口座開設機会を提供する国家プロジェクトで、保険や年金、デジタル決済サービスへのアクセス拡大にもつながっている。2026年8月時点のPMJDY口座数は約5億9,090万件に達し、2015年の1億4,720万件から大幅に増加した。

インド政府は今回のキャンペーンを通じて、金融サービスの未利用者を正式な金融システムへ取り込み、社会保障やデジタル金融へのアクセスをさらに拡大する方針だ。政府は同キャンペーンを「ラストマイルの国民を金融システムへ取り込む取り組み」と位置付けており、金融包摂の一段の深化につながるか注目される。

(注1)全ての国民が銀行口座を持てるようにすることを目的とした国家政策。銀行サービスにアクセスが困難な貧困層を主なターゲットとしている。

(注2)対象年齢は18~50歳で、国内の銀行口座保有者は誰でも加入可能。保障内容は死亡時のみ支払われる死亡保険。

(注3)対象年齢は18~70歳で、国内の銀行口座保有者は誰でも加入可能。保険料は年額20ルピー(約32円、1ルピー=約1.6円)と非常に低額で、低所得層や非労働者向けに設計された補償プランとなっている。

(注4)対象年齢は18~40歳で、60歳から年金受給開始、銀行口座を保有する国民は誰でも加入が可能。

(野本直希)

(インド)

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