ベトナム商工省、EFTAとのFTA署名に向け提案書とりまとめ
(ベトナム、スイス、EFTA)
ハノイ発
2026年10月22日
ベトナム商工省は10月5日、欧州自由貿易連合(EFTA)との自由貿易協定(FTA)について、署名に向けた提案書を取りまとめたと発表した。提案書は司法省での審査を経て政府に提出される予定だ。商工省は同協定がベトナム企業の輸出市場の多角化や、高い購買力を有する市場へのアクセス拡大に寄与すると期待している。EFTA域内の年間輸入額は約6,300億ドルに上り、ベトナム政府は輸出拡大や質の高い投資誘致につながるとみている。
ベトナムとEFTA(スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)とのFTA交渉は2012年に開始された。21回の正式交渉を重ね、2026年7月に協定本文全体での合意に達した。協定は物品・サービス貿易、投資、原産地規則、技術的貿易障壁(TBT)、衛生植物検疫措置(SPS)、政府調達、知的財産権、競争政策、中小企業支援、持続可能な開発など幅広い分野を対象としている。
協定によると、EFTA側は、90%超の関税分類品目について、協定発効と同時に関税を撤廃する。対象品目は、ベトナムの対EFTA輸出額の99.5%を占める。水産品を含む工業製品は全品目で即時撤廃の対象となる見込みで、繊維・衣類、履物、水産品、コンピュータ・電子部品、機械設備などのベトナム主要輸出品の競争力向上が期待される。また、コメ、蜂蜜、果実・野菜など一部農産品についても関税引き下げが盛り込まれた。一方、ベトナムはEFTAからの輸入品について、品目ベースで86%超(輸入額ベースで99.9%相当)の関税を即時または3~15年の段階的なスケジュールで撤廃する方針だ。
商工省のグエン・シン・ニャット・タン次官は2026年7月の交渉妥結時、ベトナムとEFTA諸国は経済構造の相互補完性が高く、協定が安定的で予見可能なビジネス環境の整備を通じ、貿易や投資、技術移転を促進するとの見方を示した。2024~2025年のEFTA向け輸出では、水産品(5,200万ドル超)、履物(4,900万ドル超)、コンピュータ・電子製品・部品(4,000万ドル超)などが主要品目となっている。
投資面では、スイスとノルウェーが主要な投資国で、2025年末時点の対ベトナム直接投資件数は、スイスが234件、登録資本総額は24億ドル超(投資国・地域別20位)、ノルウェーが62件、同約2億160万ドルとなっている。ベトナム政府は、FTAの発効によりハイテク、製造業、クリーンエネルギー、グリーントランスフォーメーション(GX)、イノベーション、人材開発分野への質の高い投資誘致が進むことを期待している。ベトナムを生産拠点とする日系企業にとっても、電子・電機、機械関連製品などのEFTA市場向け輸出拡大やサプライチェーン再編の選択肢拡大につながる可能性があり、今後の署名・発効動向が注目される。
(吉田薫)
(ベトナム、スイス、EFTA)
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