カンボジア、2027年の縫製業などの最低賃金を月額212ドルとする省令を発表

(カンボジア)

プノンペン発

2026年10月14日

カンボジア労働・職業訓練省は9月30日、2027年の縫製・製靴・旅行用品・かばん産業に適用する最低賃金を定めた省令第226号を発表した。労働者の最低賃金は、現行の月額210ドルから212ドルとなる(添付資料図参照)。2027年1月1日から適用される。

また、燃料価格高騰による通勤費負担の軽減を目的に、2026年4月1日から一時的に支給が義務付けられている月額2.50ドルの居住・通勤手当についても、2027年以降の継続が決定された。

最低賃金諮問委員会では17回にわたる協議が行われた。労働組合側は物価上昇に伴う生活費負担の増加を理由に賃上げを求めた。一方、使用者側は、世界経済の先行き不透明感が強まる中、観光客数の大幅な減少や燃料価格・物流コストの上昇が企業活動に影響を及ぼしているとして、雇用の安定確保と国際的な投資競争力の維持を優先し、現行の210ドル維持を求めていた。

9月30日の最終協議でも合意には至らず、210ドルと225ドルの2案による採決の結果、51人中47人が210ドルを維持する案を支持した。その後、フン・マネット首相が2ドルを上乗せすることを決定し、2027年の最低賃金は212ドルとなった。

最低賃金の引き上げが続く中、当該産業では競争力の維持・向上に向けた産業高度化の必要性が高まっている。2029年の後発開発途上国(LDC)卒業後は、特恵関税に代わり経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)の活用の重要度が増すことが見込まれる。一方、カンボジアの縫製業では生地製造や染色といった川上産業の集積が限定的であり、原材料の多くを輸入に依存している。このため、EPA・FTAの原産地規則に対応する観点からも、川上産業の育成・集積が課題となっている。その実現に向けては、安定した電力供給や工業用水の確保をはじめとする投資環境の改善が期待される(2024年5月24日付地域・分析レポート参照)。

(山口乗子)

(カンボジア)

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