カナダ政府、強制労働産品の輸入規制強化に向けた意見募集結果を公表

(カナダ)

調査部米州課

2026年10月13日

カナダ政府は10月8日、強制労働によって生産された製品の輸入禁止措置の強化に関する意見募集の結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダ連邦議会では、強制労働産品の輸入禁止を強化する法案(Bill C-35)が審議されており、意見募集を通じて、同法案の成立後を見据えた規則や運用の設計に関する意見を集めた。

カナダは2020年以降、関税法に基づき、強制労働によって生産された製品の輸入を禁止している。また2024年には、サプライチェーン法に基づき、政府機関や企業に対し、サプライチェーン上の強制労働や児童労働のリスクへの対応状況の報告を義務付けた(注1)。Bill C-35は、こうした制度の執行力をさらに高めるため、強制労働によって生産された疑いがある製品のリストを公表し、掲載製品の輸入者がカナダ国境サービス庁(CBSA)に提出すべき情報を規則で定めるとしている。

意見募集では複数の論点が示された。対象品目リストの作成基準については、掲載による法的・商業的影響が大きいことから、信頼性、最新性、具体性があり、複数の情報源で裏付けられた証拠に基づき、透明性のある基準で判断すべきとの意見が示された。特に、定義や証拠要件、報告様式などを適切な範囲で米国やEUの措置と整合させることで、複数の法域で事業を展開する企業の負担軽減につながるとの意見が多く寄せられた。また、米国労働省の児童・強制労働産品リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや米国のウイグル強制労働防止法(ULFPA)エンティティー・リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをはじめ、EU、英国、オーストラリアの取り組みを参照すべきとの意見もあった。一方、カナダの国内法に基づき独自に判断すべきとの意見も寄せられた。

リストへの掲載単位については、適法な事業者まで対象とならないよう、原則として、入手可能な証拠が合理的に裏付ける範囲を超えて指定すべきではないとの見方が多かった。一方、国家主導などの組織的な強制労働について十分な証拠がある場合には、産業・地域単位での指定を可能とすべきとの意見もあった。

輸入者に求める情報については、執行開始前に、より明確で詳細な指針を示す必要があるとの意見が寄せられた(注2)。また、輸入者が一貫性と予測可能性を持って製品の適合性を証明できるよう、手続きや提出書類の要件を米国やEUなどと整合させるべきとの意見が示された。既存のデューディリジェンス(DD)やサプライヤー監視の仕組みを活用する提案も多かった。カナダ政府は今後、意見募集の結果を踏まえて規則や運用枠組みの検討を進める方針だ。

(注1)調査レポート「『サプライチェーンと人権』に関する法制化動向」のカナダ(26ページ)参照。

(注2)特に、上流サプライヤーが管理する情報を入手できないことだけを理由に、輸入者を不適合とみなすべきではないとの意見があった。製品に関する証拠に基づいて判断する一方、輸入者への対応に当たっては、情報を入手するために合理的な努力を行ったかなど、輸入者のDDや取り組みを考慮すべきとされた。

(木村勇翔)

(カナダ)

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