シンガポール政府、LNG調達先の多角化や原子力・地熱の活用を検討、電力インフラ整備計 画も発表

(シンガポール)

シンガポール発

2026年10月28日

シンガポールのタン・シーレン・エネルギー・貿易産業相(エネルギー・産業担当)は10月26日、「シンガポール国際エネルギー・ウィーク(SIEW)」での基調演説で、液化天然ガス(LNG)の調達先多角化や原子力・地熱の活用などの取り組みを明らかにした。また、エネルギー市場監督庁(EMA)は同日、電力需要の拡大に対応するため、2031年までを対象とする5カ年のエネルギー・インフラ整備計画を発表した。

写真 シンガポール国際エネルギー・ウィーク(SIEW)で基調演説するタン・シーレン・エネルギー・貿易産業相(ジェトロ撮影)

シンガポール国際エネルギー・ウィーク(SIEW)で基調演説するタン・シーレン・エネルギー・貿易産業相(ジェトロ撮影)

タン・エネルギー・貿易産業相はホルムズ海峡紛争や資源の輸出制限など、資源ナショナリズムの台頭への対応策として、まず発電燃料の天然ガス(注1)の調達先の多角化を挙げた。同相によると、同国が輸入する天然ガスの約半分は、米国や中東、オーストラリアなどから輸入するLNGが占める。2030年までに2基目のLNGターミナルが稼働すれば、LNGの再ガス化能力が50%拡大し、調達先のさらなる多角化ができる見通しだ。また、サウジアラビア・エネルギー省とシンガポール・エネルギー・貿易産業省は同日、サウジアラビアの原油をジュロン島の地下貯蔵施設(ジュロン・ロックカバーン)に貯蔵する枠組みを設けることで一致した。

さらに同相は、新たな発電燃料の可能性として原子力と地熱を挙げた。同国は2025年2月、小型モジュール式原子炉(SMR)の導入を検討する方針を明らかにしていた(2025年2月26日記事参照)。原子力導入に向けた第1歩として、2027年には国際原子力機関(IAEA)の統合原子力インフラレビュー(INIR)のミッション受検(注2)を受け入れる予定だ。地熱については、発電利用が可能な地熱エネルギーの技術的潜在量が、同国の年間電力消費量〔約60テラワット時(TWh〕〕の60倍以上に相当すると推計された。今後、専門家による技術的および経済的な実現可能性調査を進める。

ピーク発電需要、2031年までに9.9~13GWに拡大へ

半導体製造やデータセンターなどの新たな電力需要の増加により、国内のピーク発電需要は2026年8月時点の8.6ギガワット(GW)から2031年までに9.9~13GWへと拡大する見通しだ。EMAは、電力需要拡大に向けた2026~2031年を対象とするエネルギー・インフラ整備計画を発表した。詳細は添付資料表を参照。

(注1)2026年6月時点で、シンガポールの発電燃料の91.6%を、LNGを含む天然ガスが占める。

(注2)INIRミッション受検とは、自国の原子力導入に向けた安全規制や廃棄物処理などの準備状況を総合的に評価する手続きのこと。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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