8月の石油市場は需給縮小・在庫減少、ディーゼル燃料の逼迫深まる
(中東、世界)
調査部中東アフリカ課
2026年09月17日
国際エネルギー機関(IEA)は9月11日、石油市場報告(2026年9月)
を発表した。2026年の世界の石油需要は前年比で日量250万バレル減少すると予測し、前月予測から94万バレル下方修正した。米国とイランの交渉が停滞し、需要回復が2027年までずれ込むとの見通しを示した。前月の報告では、2026年第4四半期以降の回復を見込んでいた。
8月の世界の石油供給量は、前月比日量160万バレル減、前年同月比日量680万バレル減の日量1億10万バレルとなった。湾岸地域において日量1,000万バレルを超える規模の生産停止が続き、7月からさらに供給が減少した。
米国エネルギー情報局(EIA)は9月9日付プレスリリース
において、ホルムズ海峡の通航量と代替輸出ルートの利用拡大を受け、中東地域の原油生産量が今後数カ月で増加すると予測していた。しかし、9月10日に発生したサウジアラビアの東西パイプライン(注)への攻撃(2026年9月14日記事参照)を受け、IEAは湾岸地域の生産回復が2027年にずれ込むとの見方を示した。
供給の減少に伴い、世界の石油総在庫は9,500万バレル減少し、米・イスラエルとイランの軍事衝突が始まった2026年2月以降の累積減少量は、5億700万バレルとなった。内訳をみると、海上輸送中の石油在庫が6,500万バレル減、非OECD諸国の在庫が5,200万バレル減少した一方、OECD諸国の在庫は2,300万バレル増加した。
湾岸諸国からのディーゼル輸出が急減、価格も高騰
石油に加え、ディーゼル燃料が逼迫している。IEAによると、ホルムズ海峡の供給制約により、8月の湾岸諸国からのディーゼル燃料輸出は、平均日量39万バレルと、軍事衝突前の約4分の1にとどまった。湾岸諸国の供給減に加え、ウクライナによる攻撃でロシアの製油所が混乱し(2026年7月14日記事参照)、供給不足に拍車をかけた。2月以前は、湾岸諸国とロシアの両地域で世界の海上ディーゼル取引の約45%を占めていた。
EIAは、主にディーゼル燃料として販売される留出燃料油の米国内在庫が10月に1億バレルを下回り、2003年以来の低水準になると予測した。EIAはさらに、2027年第1四半期まで米国の留出燃料油在庫水準は過去5年間の最低水準を下回る状態が継続する見通しを示している。
ディーゼル価格も高騰し、9月初旬の米国市場では1バレル200ドルを突破した。これは軍事衝突前と比べて94%の上昇となる。IEAは欧州・アジアにおいても同程度の水準まで価格が上昇していると報告した。
中東情勢を巡る最新動向は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」を参照。
(注)サウジアラビア東部州アブカイクから紅海沿岸の主要積み出し港である同国西部ヤンブーまでを結ぶ原油輸送のパイプライン。ホルムズ海峡を通航せずに紅海側に原油を輸送できることから、ホルムズ海峡の代替ルートとして注目された(2026年4月28日付地域・分析レポート参照)。日量700万バレルの輸送能力を持つ。
(中村周)
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