インドネシアのスタートアップとの協業を模索、津南醸造に聞く

(インドネシア、日本)

イノベーション部エコシステム課

2026年09月30日

ジェトロは7月30日、新潟県中魚沼郡津南町の津南醸造と、インドネシア・バンドンのスタートアップBell Living Lab(正式名称PT. Kurva Lonceng Khatulistiwa)に、両社の協業に向けた展望や期待を聞いた。両社は2026年2月、津南醸造の酒かすをBell Living Labが培地(注1)として活用することや、同社が開発するサステナブル素材の日本市場への導入可能性を探ることなどで合意している。

写真 Bell Living Labのアルカ・イルファニ共同創業者兼CEO(左)と津南醸造の鈴木健吾代表取締役(右)(津南醸造提供)

Bell Living Labのアルカ・イルファニ共同創業者兼CEO(左)と津南醸造の鈴木健吾代表取締役(右)(津南醸造提供)

津南醸造は日本酒の製造・販売に加え、酒かすを食品、化粧品、農業資材などの原料として活用する「日本酒アップサイクルプロジェクト」にも取り組んでいる。鈴木健吾代表取締役は、発酵技術や酒かすの新たな用途を外部企業と探る考えを示し、ジェトロのインタビューに対して、「日本酒を販売するにとどまらず、酒かすをはじめとする日本酒作りの副産物を商品化することで、新たな事業機会を創出するとともに、社会課題の解決にも寄与したい。時代の変遷とともに、酒蔵に求められる役割も変化している。収益の確保に加え、地球環境の保全や持続可能な社会の実現への貢献も、酒蔵のような伝統産業にとって重要な使命となりつつあるのではないか」と述べた。

写真 津南醸造の外観(津南醸造提供)

津南醸造の外観(津南醸造提供)

Bell Living Labは2020年にバンドン工科大学からスピンアウトして設立されたスタートアップだ。コーヒーパルプ(注2)やコーヒーグラウンズ(注3)などの廃棄物を原料に、微生物による発酵を用いたレザー代替素材「M-Tex」を開発し、同素材を用いたかばんなどのファッションアイテムや家具などを販売している。アルカ・イルファニ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、コーヒーに着目した理由として、さまざまな原料に着目した中で、コーヒー由来の廃棄物が最も安定した品質を確保できたこと、またインドネシアがコーヒーの生産大国で社会的インパクトが大きかったことを挙げた。コーヒー由来の廃棄物は適切に処理されない場合、分解過程で温室効果ガスの一種であるメタンガスの発生源となることから、地球環境の保全にも貢献したいと話す。

写真 レザー代替素材「M-Tex」から作られたかばん(Bell Living Lab提供)

レザー代替素材「M-Tex」から作られたかばん(Bell Living Lab提供)

両社の接点は2025年7月にインドネシアで開かれたスタートアップイベントだった。鈴木氏は同社に着目した理由として、コーヒー由来廃棄物の量と品質の安定性に加え、発酵や微生物制御という技術面で津南醸造との親和性があることなどを挙げた。また、今回の協業を通じて「日本酒の生産現場発で、世界に訴えていけるプロダクトを作りたい」と話す。一方、Bell Living Labは、津南醸造との連携を通じてM-Texの生産速度の向上や品質の安定化を進めるとともに、日本市場参入のきっかけにしたいとしている。

(注1)微生物を培養するための栄養源。

(注2)コーヒーの実の外皮および内側の果肉部分のこと。

(注3)コーヒー豆をドリップした後に残る出し殻のこと。

(平松耕介)

(インドネシア、日本)

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