トランプ米政権、ベネズエラとの石油開発合意に関するファクトシート発表、同国石油大手の株式を35%取得
(米国、ベネズエラ)
ニューヨーク発
2026年09月02日
米国ホワイトハウスは8月31日、ベネズエラの石油開発を巡り、同国の民間石油会社ノース・アメリカン・ブルー・エナジー・パートナーズ(NABEP)との合意に関するファクトシートを発表
した。ドナルド・トランプ大統領は8月28日、自身のSNS上で合意締結を発表していた。
ファクトシートによると、主な合意内容は次のとおり。
- ベネズエラ暫定政権はNABEPに対し、確認埋蔵量約650億バレルに達する17の油田について、100年間の開発権を付与する。
- 米国戦争省(国防総省)戦略資本局(OSC)は、NABEP親会社の株式35%を無償で取得する。
- 米国国務省は、NABEPが操業する全油田の生産量について、20%を生産原価で購入する権利を得る。これらの石油は、戦略石油備蓄(SPR)の補充や軍事用途などに活用する。また残る80%の石油についても優先購入権を持つ。
- 米国政府はNABEP取締役の選任拒否権を有するほか、取締役の過半数は米国籍者とする。
ホワイトハウスは、今回の合意により米国が権益を持つことになる石油埋蔵量が、米国内の確認埋蔵量約460億バレルを大幅に上回る規模になると評価した。また、NABEPがベネズエラ国内の石油インフラに最大1,000億ドルを投資することで、何千人分の高賃金の雇用を創出するとした。さらに、NABEPの生産拡大により今後25年間で総額約2,000億ドルの税およびロイヤルティー収入をベネズエラ政府にもたらす見通しだとし、同国の経済的恩恵も強調した。
このほか、NABEPが今後開発する油田の多くは、これまでロシアや中国などの企業、過去のベネズエラ政権関係者などに支配されていたと説明した上で、今回の合意を「モンロー主義の再確認」と位置付け、中南米における外国の影響力を取り除き、西半球における米国の優位性を確保したと主張した。
米国が2026年1月の軍事作戦でニコラス・マドゥーロ大統領(当時)を拘束して以降、ベネズエラでは石油産業の改革が進められてきた。ベネズエラ議会は同1月、外資誘致に向けた炭化水素法の改正法案を可決したほか(2026年2月2日記事参照)、米国務省は2月、「ベネズエラ産石油の活用と同国石油産業の再建」のための措置を発表した(2026年2月19日記事参照)。8月には、米国ヒューストンでベネズエラのエネルギーポテンシャルや投資機会、技術、イノベーションを議論するフォーラムが開催された(2026年8月28日記事参照)。
なお、トランプ政権が、今回の合意が国内のガソリン価格引き下げやSPRの備蓄水準引き上げに寄与すると主張する一方、専門家からは慎重な見方も示されている。ライス大学エネルギー研究センターでプログラム・ディレクターを務めるフランシスコ・モナルディ氏は、一部の油田はすでに生産が進み一定程度は米国へ供給されると見込むものの、中東情勢による供給混乱を代替する規模には至らず、原油やガソリンの短期的な価格下落にはつながらないと推測した。また、SPRで備蓄される軽質油とベネズエラで生産される重質・超重質油では、石油の性状が異なる点も課題として挙げた(PBSニュース8月31日)。
(滝本慎一郎)
(米国、ベネズエラ)





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