米政府、ベネズエラ産石油の活用と同国石油産業の再建プランを発表

(米国、ベネズエラ)

調査部米州課

2026年02月19日

米国国務省は2月13日、「ベネズエラ産石油の活用と同国石油産業の再建」に向けた一連の措置を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。今回の発表は、ベネズエラの石油産業の再生を通じて米国およびベネズエラ双方の利益を高めるとするドナルド・トランプ大統領の方針が実行段階に入ったことを示すもので、財務省外国資産管理室(OFAC)が1月末から2月にかけて発行した一般ライセンス(General License、以下GL、注1)が柱となっている。

米国は、ベネズエラに対し実施した2005年の麻薬取引関連制裁を皮切りに、2015年には人権侵害・民主主義の侵害を名目に包括的な制裁(Sanctions Program)を開始、マドゥーロ政権の権威主義化や汚職などを理由に制裁(注2)を段階的に拡大してきた。トランプ政権は、制裁を維持したまま、米国の政策目的に合致し、経済的・人道的に有益と判断される特定の取引だけをGLで例外的に許可する方針だ。

OFACが1月29日に発行したGL46外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、米国法人がベネズエラ産原油を国内外に向けて正規価格で販売することが認められ、代金は米国政府管理下の口座に入金することが条件とされた。従来、マドゥーロ政権が割安価格で原油を販売してきた点を改め、透明性と市場性を確保する狙いがある、と国務省は説明している。また2月3日発行のGL47外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、米国企業がベネズエラに石油生産に欠かせない米国原産の希釈剤(diluent)を供給することが認められ、米国経済および同国エネルギー部門双方に利益をもたらす措置とされている。2月10日発行のGL48外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、米国企業によるベネズエラ石油・ガス産業向け機器・サービスの提供を広く認め、老朽化が進む同国のインフラ改善を促す。

さらに2月13日には、2件のライセンス(GL49およびGL50外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が同時に発行された。GL50は、一部のベネズエラ企業による操業範囲の拡大や上流部門での追加事業展開を認める一方、GL49は、米国企業を含む石油・ガス企業がベネズエラ政府と上流分野での投資契約を交渉・締結することを可能にする。ただし、契約の最終承認には米政府による審査が必要とされ、米国およびベネズエラ国民双方の利益に資する投資であることが条件となる。

国務省は、これらの措置がベネズエラ石油・ガス産業の近代化の基盤を築き、生産量の拡大、さらには「米国の西半球におけるエネルギー供給の安定確保」につながると強調している。

ベネズエラは世界最大規模の原油確認埋蔵量を有するとされているが、長年の不安定な政治、汚職、経済政策の失敗により国の成長と発展が狭められてきた。今回の発表では、GLにより、米国企業および他国の関連企業に対し、経済回復と責任ある投資を支援する建設的な役割を果たすよう促すとしており、その目的の推進のため、必要に応じて追加の認可が発行される可能性もあるとしている。

なお、米国政府は同日、トランプ大統領の指示を受け、ベネズエラの安定化、復興、そして移行に向けた3段階計画の一環として、ベネズエラ国民への緊急医療物資(パレット25台、6,000キログラム以上)を空輸した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと発表した。ベネズエラの暫定保健省は、緊急医療を必要とするベネズエラ国民に対し、これらの重要な医薬品を全国的に配布する。これは、ベネズエラへの重要医療物資の大量供給に向けた重要な取り組みの最初の輸送となるとし、さらに、「アメリカ・ファーストの対外支援の実践」だとし、「西半球における迅速かつ安定化のための支援」を継続するとしている。

(注1)OFACが発行する包括的な取引許可。制裁下にある国・地域との取引であっても、ライセンスで定められた範囲内であれば、企業は個別に許可申請を行う必要がなく、自己判断で該当取引を実施できる。GLには対象となる分野・商品・企業、支払い方法、制限事項などの条件が細かく規定されており、条件を逸脱した行為は制裁違反となる。

(注2)制裁の実施はOFACが所管し、対象者の米国資産凍結や米国人との取引禁止などを行う。

(岩井晴美)

(米国、ベネズエラ)

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