米ニューヨーク「クライメート・ウィーク」で気候関連エコシステム関係者が最新の取り組みを発信

(米国、日本)

ニューヨーク発

2026年09月30日

ジェトロは9月21日、9月20~27日に米国ニューヨーク(NY)で開催された「クライメート・ウィーク(Climate Week、注1)」に併せて、2つの気候関連テックイベントを開催・共催した。イベントでは気候関連エコシステム関係者が最新の取り組みを発信した。

21日午前は日本の大学発スタートアップ(SU)と米国東海岸の投資コミュニティーの連携強化を目的に「NINEJP Startup Pitch Event」と題したパネルディスカッションとSUによるピッチを行った。パネルディスカッションでは、NYを拠点とするSUに投資を行うリマーカブル・ベンチャーズ(Remarkable Ventures)のムラト・アクティハノグル氏とハードテックなどのSU支援を行うマンハッタン・ディスタンス​(Manhattan Distance)のピーター・スターン氏、京都大学イノベーションキャピタルの河野修己氏が登壇した。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

スターン氏は、SUは単なる「技術」ではなく、「課題への具体的な解決策」を提供する必要があるとし、そのための適切なフィードバックの重要性について述べた。アクティハノグル氏はそうしたフィードバックを得るためにNYは最適な場所であるとし、SUが自社のグローバルでの立ち位置を見いだすことができると説明した。河野氏は、大学発SUの成功事例を増やしていくことの重要性について強調した。続くセッションではSU計6社がピッチを行い、コンクリートに二酸化炭素(CO2)を多く吸収・固定できる北海道大学発の技術「DACコート」や、有害物質を含んだ酸性鉱山排水をCO2除去プラントへと転換する技術などが紹介された。

同日午後には日系企業と米国企業・エコシステムビルダーが気候関連の取り組みを紹介するピッチイベント「Climate Gateway:Japan × U.S. Innovation & Investment Pitch Event」を開催した。

写真 「Climate Gateway:Japan × U.S. Innovation & Investment Pitch Event」の様子(ジェトロ撮影)

「Climate Gateway:Japan × U.S. Innovation & Investment Pitch Event」の様子(ジェトロ撮影)

ジェトロ・ニューヨーク事務所の桐山伸夫所長は、気候変動はわれわれの時代における解決するべき大きな課題であると同時に技術革新のチャンスでもあり、そのための日米連携が重要だと強調した。日系企業では、東急不動産がマサチューセッツ工科大学と連携した自社のSU支援プログラムであるサクラ・ディープテック・シブヤ(SAKURA DEEPTECH SHIBUYA)や、グリーンテック分野に特化したグリーンバレー・シブヤ(GREEN VALLEY SHIBUYA)を紹介した。出光興産は海洋CO2除去(CDR)やブルーカーボンをはじめとする幅広い脱炭素技術への投資や研究について説明した。スクラムベンチャーズは、北海道や東京・渋谷で運営するアクセラレータープログラムの中で、サステナビリティーが重要な分野として位置付けられていると述べた。三菱重工業は2040年までの目標として掲げる、スコープ3(注2)を含むネットゼロ達成に向けた再生可能エネルギーへの投資や、CO2を燃料に変換する取り組みについて解説した。

米国企業では気候テックを支援するセンターポリス・アクセラレーター(Centrepolis Accelerator外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、ニューラボ(NewLab外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、バットワークス(BATWorks外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が参加した。また、エコシステムビルダーとして、米国の公立大学でSU創業数2位(注3)を誇るミネソタ大学も参加し、同大学の気候科学者のハイディ・ループ氏が、気候変動の緩和策・適応策の両面の取り組みについて説明した。緩和策としては、環境負荷の低い鋼鉄や木材製品を生み出すグリーン産業のイノベーションへの注力を挙げた。適応策としては、持続的な農業についての研究や、人工知能(AI)を用いた気候リスク評価による災害予測の技術について紹介した。両イベントには日本からの参加者も集まり、気候関連テックへの関心の高さがうかがえた。

(注1)毎年9月にNY市で開催される世界最大級の気候変動対策イベント。

(注2)気候変動対策として温室効果ガス(GHG)排出量の算定・報告をするための国際的な基準で、スコープ3はサプライチェーン上で発生する自社以外の温室効果ガス(GHG)排出も含めた分類。

(注3)出所「University of Minnesota Twin Cities, Technology Commercialization Statistics外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」。

(鵜飼紗帆、遠藤壮一郎)

(米国、日本)

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