米EPA、G20エネルギー会合で発電所向け温室効果ガス規制撤回を発表

(米国)

ヒューストン発

2026年09月25日

米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は9月14日、テキサス州ヒューストンで開催されたG20エネルギー会合で、バイデン前政権が2024年に導入した化石燃料発電所向けの温室効果ガス排出規制を撤回すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EPAは併せて、化石燃料火力発電所に対する全ての温室効果ガス(GHG)排出基準撤廃も提案している。

今回撤回される規制は、既存の石炭火力発電所や新設天然ガス火力発電所に対し、炭素回収・貯留(CCS)設備の導入などを通じて大幅な二酸化炭素(CO2)排出量の削減を求めるものだった(2024年5月8日記事参照)。EPAは、これらの規制が実証されていない技術への依存を前提としており、大気浄化法で定められた法的権限を逸脱していると主張した。リー・ゼルディンEPA長官は、規制撤回により電力料金の低下や雇用増加が実現すると強調した。エネルギー省(DOE)のクリス・ライト長官は、石炭や天然ガスによる発電は安定した電力供給に不可欠で、再生可能エネルギーだけではピーク時の需要に十分対応できないと主張した。

今回の発表の場となったG20エネルギー会合は、大手石油・ガス製造やパイプライン、発電関連などの企業が集結し、「世界のエネルギー首都(Energy Capital of the World)」とも呼ばれるヒューストンで開催された。近年、議論の対象とされてきた「脱炭素」よりも、石油・ガスの活用や規制緩和を通じて「潤沢なエネルギー供給(Energy Abundance)」を目指す政策を前面に押し出しており、2026年のG20で議長を務める米国が主催する初のエネルギー会合として、トランプ政権のエネルギー政策を反映するかたちとなった(注)。

欧州メディアは本会合について、イラン戦争による原油・ガソリン価格高騰に対する米国の責任問題や、ロシア参加を巡る外交問題が取りざたされる中、「トランプ政権のエネルギー政策を推進するために利用した」ものと報じた。EUは再生可能エネルギー拡大や電化による脱炭素路線と、化石燃料の輸入依存からの脱却を目指していることから、エネルギー安全保障の定義そのものを巡って欧米間での溝が鮮明になった。

インドは開発途上国として、安価で安定したエネルギー源の確保を通じた経済成長と脱炭素化の両立を重視しており、米国とEUの中間的な立場を示した。カナダは、自国を「安定したエネルギー供給先として、信頼できるパートナーだ」と各国にアピールした。

また日本は、米国と、インド太平洋地域のエネルギー安全保障強化に向けた取り組みや液化天然ガス(LNG)や原子力、水素分野での協力を確認した。

(注)G20は1999年のアジア通貨危機後に財務相・中央銀行総裁会議として創設、2008年の世界金融危機を受けて首脳会議(サミット)として世界経済の主要な協議の場となった。G20では首脳会議だけでなく、貿易、外交、イノベーションなどの分野別閣僚会合も開催され、エネルギー会合はG20の主要な閣僚会合の1つとして定着。参加国・地域は、アフリカ連合、EU、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ共和国、トルコ、英国、米国。

(キリアン知佳)

(米国)

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