中国、自動車業界の国外競争行為とコンプライアンス対応に関するガイドラインを発表

(中国)

北京発

2026年09月07日

中国の商務部、工業情報化部、国家市場監督管理総局は8月24日付で「自動車業界の国外競争行為およびコンプライアンス対応ガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(注1)。ガイドラインは全4章、20条で構成され、中国自動車企業の国外での生産経営活動に対する参考として作成された。特に営業販売などの競争行為を重点としつつ、国外での安全生産、品質管理、労働保障、データセキュリティーなどのコンプライアンス対応について取り上げている。商務部によると、同ガイドラインは中国共産党第20期中央委員会第4回会議(四中全会)で提起された海外総合サービス体系の整備や産業・サプライチェーンの合理的で秩序ある海外展開の誘導に関する具体的な取り組みとなる。

ガイドラインでは、中国の対外投資などの関連法規や政策、企業の国外における社会的責任や汚職防止、独占禁止などのガイドラインの要求を厳格に順守するよう求めている(注2)。

市場競争行為の規範化については、価格設定や販促、広告などの行為に関して規定された。自社の部品・完成車などの価格の適法性を管理し、不正に得た競争優位性によって市場競争秩序をかく乱してはならないとした。また、企業が国外市場で完成車の希望小売価格を設定する際には現地の法規や市場のルール、商慣習に基づき、異なる車両について明確な価格テーブルを定め、多頻度・大幅な価格改定によって消費者の利益やブランドイメージを損なわないよう求めた。国・地域間の価格差については、現地市場の状況、税制、物流コストなどを踏まえ合理的に設定するよう求めた。さらに、進出先国・地域の販売店や代理店の価格決定権を尊重し、販売インセンティブを提供する際には明確な約定を定め、取り決めた義務を全面的に履行するべきとした。このほか、正規価格以外に追加料金や明示していない費用の徴収を行ってはならないとした。

現地化およびコンプライアンス対応能力の向上に関しては、定期的なリスクチェックによる国外生産管理水準の向上、自動車関連製品の国外市場における品質管理およびアフターサービス体系の整備、現地の労働法令の順守、自動車の生産・製造や販売などに関する職業技能訓練の実施、コネクテッドカーや自動運転を通じたデータ収集・利用および域外移転などの活動における法令順守、知的財産権に関する中国および現地の関連法規の順守と自主的知的財産権の海外での展開と保護ならびに侵害リスクの防止、独占禁止法対応の強化などを定めた。このほか、企業に対して現地の状況に合わせて生産・経営活動を行い、ターゲットとする市場や使用環境のニーズに合わない製品の海外展開を避けることも呼びかけている。

中国企業の「出海」(海外展開、注3)が増加するにしたがって、進出先での法令順守やコンプライアンス対応が課題となっており、新エネルギー車(NEV)を中心に中国自動車・部品メーカーの進出が進むタイでは、現地の中国大使館が8月14日、「中国企業・国民のタイにおける投資・事業活動に関する注意喚起」を発して現地の法令順守を呼びかけるなど、中国政府も対応を強化している(2026年8月27日記事参照)。

(注1)本ガイドラインの通知は、各省・自治区・直轄市などの地方政府の担当部門および関係企業に宛てて送付されている。

(注2)国務院は7月1日から「対外投資に関する国務院規定」を施行している(2026年6月5日記事参照)。

(注3)米国の経済調査機関Rhodium Groupによると、中国の新エネルギー車(NEV)産業の海外投資額は実行ベースで、2022年以降4年連続で増加している(2026年7月8日付地域・分析レポート参照)。特にNEV産業のASEAN展開については調査レポート「中国企業のASEAN展開に関する動向把握PDFファイル(1.5MB)」(2026年2月)を参照。自動車を含む中国企業全体の海外展開関連動向についてはビジネス短信特集「中国企業の海外展開―製造業・グリーン・デジタル分野の最新動向―」を参照。

(小宮昇平)

(中国)

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