米国のアフリカ特恵制度「AGOA」が2028年末まで延長、制度見直しは継続の見込み

(米国、アフリカ)

ニューヨーク発

2026年09月04日

米国のドナルド・トランプ大統領は9月2日、サブサハラ・アフリカ諸国に対する特恵関税制度「アフリカ成長機会法(AGOA)」を延長する法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名し、同法は成立した。2027会計年度(2026年10月~2027年9月)の歳出法案が成立するまでのつなぎ予算(CR)などを束ねたパッケージ法案(H.R.6500、注1)に含まれていた。

AGOAは、米国とサブサハラ地域との貿易投資拡大や、同地域の持続可能な経済成長の促進などを目的とした制度だ。米国通商代表部(USTR)による年次審査の下、市場経済、法の支配、政治的多様性などの要件を満たしていると認められた国に対し、6,800以上の産品の関税を免除する(注2)。9月3日時点で、同地域49カ国のうち、33カ国が同制度の対象となっている。

今回の法成立により、これまで2026年12月31日までとされていたAGOAの有効期間が2年間延長され、2028年12月31日までとなった。AGOA延長法案を提出した連邦下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は、9月1日に行われた採決に先立ち、AGOAがアフリカ全土の経済的安定と機会の拡大を促進すると同時に、重要鉱物へのアクセスなど、米国の戦略的な利益や国家安全保障上の利益を高めると述べ、その重要性を強調していた。

一方で、トランプ政権はAGOAの見直しを進める方針を示している。USTRのジェミソン・グリア代表は4月、2026年の米国の通商政策をテーマとした下院歳入委員会の公聴会の中で、アフリカにおける中国の存在感の高まりに対処するため、AGOAの改正が最優先課題だと述べた(2026年4月27日記事参照)。またUSTRは同月、重要鉱物サプライチェーンの強靭(きょうじん)化といった、安全保障上重要な観点からAGOAを改正することを目的に、パブリックコメントを募集した(2026年4月30日記事参照)。USTRはコメントを求める具体的なポイントとして、アフリカ諸国の非関税障壁や輸出を阻害する要因への対処方法や、受益国となるために求められる要件の拡大の是非、重要鉱物に関する米国のサプライチェーンの強靭性を向上させるために必要な制度の改正方法などを挙げていた。今後、得られたコメントなどを踏まえた制度変更に関する議論が注目される。

(注1)CRは、2026年会計年度で認められていた予算額や執行権限などの条件で、2026年10月1日から12月11日の期間の政府支出を認めるもの。これにより、11月に予定される中間選挙前の政府閉鎖を回避したことになる。

(注2)USTRは6月、2027年における対象を審査するための年次審査を開始し(2026年7月1日記事参照)、7月には公聴会を開催した。審査結果はまだ発表されていない。

(滝本慎一郎)

(米国、アフリカ)

ビジネス短信 8aa78df857cc33d7