米GM、カナダに11億カナダ・ドル投資へ、労働組合と新労使協定を締結

(カナダ、米国、中国)

調査部米州課

2026年09月02日

カナダの労働組合ユニフォーは8月30日、米国のゼネラルモーターズ(GM)のオンタリオ州にある工場(注1)を対象とする新たな労使協定を承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国とカナダの通商摩擦を受け、カナダ国内の自動車産業の動向に注目が集まる中、今回の労使協定により、GMはカナダ事業に総額11億カナダ・ドル(約1,265億円、Cドル、1Cドル=115円)を投じる方針を示した。

GMは、オシャワ工場に1億4,400万Cドルを追加投資し、次世代GMCシエラ・ヘビーデューティーの生産を計画する。さらに、セントキャサリンズ工場に2億1,500万Cドルを投じ、2029年後半までに次世代トランスミッションの生産を開始する方針を示した。一方、インガソールにあるカナディアン・オートモーティブ・マニュファクチャリング・インク(CAMI)組立工場では生産停止が続いているが(2025年4月16日記事参照)、GMは労使協定の有効期間中、同工場を売却・閉鎖する意向はないとし、ユニフォーは生産再開に向けた働きかけを継続する。

ステランティスは工場売却を検討か

ユニフォーは8月14日、自動車大手ステランティスが、オンタリオ州ブランプトン工場について、売却の可能性について他社と協議する意向を伝えてきたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。背景には、米国の関税措置の影響があるとみられる。同工場は2024年から改修工事を進めていたが、2025年2月に改修作業を停止した。同年10月には、改修後に予定していたスポーツ用多目的車(SUV)「ジープ・コンパス」の生産を米国へ移管する方針を示し、工場は無期限の休止状態となっていた(2025年10月17日記事2025年10月20日記事参照)。

また2026年9月1日には、ユニフォーとステランティスが、新たな労使協定の締結に向けた交渉を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、今後の展開が注目される。なお、ブルームバーグ(8月31日)は、地元市長の話として、中国の大手電気自動車(EV)メーカーの比亜迪(BYD)が同工場の買収に関心を示していると報じた。

米国はカナダから輸入される自動車・同部品に対し、1962年通商拡大法232条に基づく25%の追加関税と、1930年関税法338条に基づく50%の追加関税を課している(注2)。また、ドナルド・トランプ大統領は8月24日、2027年1月1日からカナダ産の自動車・同部品などに対する関税率を50%に引き上げると自身のSNSに投稿したが、詳細は明らかになっていない。自動車産業を巡る米国の通商政策の先行きに対する不透明感が強まる中、自動車メーカー各社は対応を迫られている。

(注1)今回の労使交渉の対象は、オシャワ、セントキャサリンズ、ウッドストック、インガソールの4工場で働く約4,600人の従業員。

(注2)232条に基づく追加関税は、カナダ・メキシコ・米国協定(CUSMA)の原産地規則を満たさない非米国産部分に適用される。一方、338条に基づく追加関税は、CUSMAの原産地規則を満たした場合でも課されるが、232条に基づく追加関税の対象品目には課されない。なお、CUSMAは、米国ではUSMCA、メキシコではT-mecと呼ばれる。

(木村勇翔)

(カナダ、米国、中国)