ステランティス、米国事業拡大で130億ドルの投資を発表
(米国、カナダ)
シカゴ発
2025年10月17日
自動車大手のステランティス(本社:オランダ・アムステルダム)は10月14日、130億ドルを投じて、今後4年間で新型車5車種の導入、新型4気筒エンジンの生産、米国イリノイ州・オハイオ州・ミシガン州・インディアナ州の工場で5,000人以上の新規雇用を創出すると発表した。この大型投資は、同社が米国でクライスラーとして創業して以来100年の歴史の中で、最大規模のものとなるという。今回の投資により、同社の米国での完成車の年間生産台数は現行の水準から50%増加する見込みだ。130億ドルの投資計画には、研究開発費とサプライヤー費用、ならびに製造事業への投資が含まれる。各工場での投資の詳細は次のとおり。
(1)イリノイ州:投資額は6億ドル超。ベルビディア組立工場を再稼働し、米国市場向けジープチェロキーおよびジープコンパスの生産を拡大する計画。2027年の初期生産開始を予定、約3,300人の新規雇用創出を見込む。
(2)オハイオ州:投資額は約4億ドル。イリノイ州ベルビディア組立工場に割り当てられていた新型の中型トラックの組み立てをトレド組立工場へ移管する計画。生産開始時期は2028年を予定。生産移管により900人以上の新規雇用創出を見込む。なお、2025年1月に発表したとおり、トレド工場への投資も継続する(2025年1月29日記事参照)。
(3)ミシガン州:ウォーレン・トラック組立工場の設備更新に約1億ドルを投資。新型レンジエクステンダー式電気自動車(EV)および内燃機関搭載の大型スポーツ用多目的車(SUV)を開発し、2028年から生産を開始する予定。900人以上の新規雇用創出を見込む。また、2025年1月の発表のとおり、デトロイトのジェファーソン組立工場での次世代ダッジ・デュランゴの生産準備のため1億3,000万ドルを投資する見込み。生産は2029年に開始予定。
(4)インディアナ州:2025年1月の発表どおり、ココモ工場に追加投資を行い、2026年から新型4気筒エンジンの生産を開始予定。1億ドル超の投資と100人以上の新規雇用創出を見込む。
これらの投資計画によって、ジープの1モデルの生産がカナダのブランプトン組立工場からイリノイ州のベルビディア組立工場へ移管することとなったため、カナダ自動車労働組合のユニフォー(UNIFOR)は雇用喪失を懸念している。同組合のラナ・ペイン会長は「ステランティスがカナダの労働者への約束をほごにすることを許してはならない。雇用が米国に移転するのをカナダ政府が傍観するわけにはいかない」と述べている。
(星野香織)
(米国、カナダ)
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