オーストリア政府、CO2地下貯留解禁へ法案の意見公募を開始

(オーストリア)

ウィーン発

2026年09月29日

オーストリア政府は9月22日、環境影響評価法(UVP-G)の改正案と、二酸化炭素(CO2)の地下貯留を可能にする新法案を意見公募手続きに付した。政府は、長期化している許認可手続きの短縮と、気候中立実現に向けた新技術の導入を同時に進める方針を示した。

オーストリアでは2011年、当時の連邦政府がEU指令に基づきCO2貯留を禁止した。技術が未成熟で、漏出や地震誘発などのリスクが懸念されていたためだ。しかし政府は現在、技術の進歩や国際的な運用実績を踏まえ、安全性は大きく向上したとの認識を示している。

CO2の回収・貯留(CCS)の対象として、セメント、石灰、鉄鋼、セラミックス、耐火材産業などの、排出削減が極めて困難な業種が挙げられている。法案では、安全性と環境保護を重視した厳格な規制枠組みを導入する。年間の貯留量には上限が設けられ、2029年末までは全国で最大300万トン、2030年から2034年末までは最大700万トンとされる。また、2033年6月末までに制度の評価を実施する予定だ。

経済界からは歓迎の声が相次いだ。連邦産業院(WKO)傘下の鉱業・鉄鋼専門協会のアンドレアス・ヘンケル=ドナースマルク会長や企業家連盟(IV)のクルストフ・ノイマイヤー事務総長は、CCSを気候保護や産業競争力の面で好ましいとの見方を示した。

一方、環境保護団体グリーンピースは「危険な誤った方向性」と批判。貯留可能な容量には限界があり、数年で満杯になる可能性があるほか、CCSインフラの整備費用は100億ユーロ以上と推定されると指摘した。また、責任の所在が不透明であり、漏出した場合には巨額の追加コストが生じる可能性もあるとして懸念を示している。

オーストリア先端技術研究所(AIT)を中心とするチームは2024年に、政府の委託でCO2輸送網に関する調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を実施し、国内外のCO2排出源と貯留先を特定、輸送ルートの設計や経済性を評価した。報告書によると、オーストリアでは年間900万~1,500万トンのCO2が技術的・経済的理由から削減困難であり、CCSの対象となる。CO2輸送網の全面整備には設備投資に120億~180億ユーロが必要とされ、年間運営費は12億~35億ユーロに達する見通しだ。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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