テネシー州、核融合発電向け新制度の下で全米初のライセンス発給
(米国)
アトランタ発
2026年09月02日
米国テネシー州環境保全局(TDEC)は8月31日、核融合開発企業のタイプ・ワン・エナジー(本社:テネシー州ノックスビル)に対し、核融合設備の運転に必要な「副生成物質(Byproduct Material)ライセンス(注1)」を発給したと発表
した。テネシー州は、核融合装置向けに新たに整備した規制枠組みの下でライセンスを発給した米国初の州となった。
同日、テネシー州のビル・リー知事(共和党)は、同州ナッシュビルで開催された州放射線管理責任者協会(Organization of Agreement States: OAS)の年次総会において、タイプ・ワン・エナジーおよびテネシー峡谷開発公社(TVA)の幹部らとともにライセンス発給を発表した。リー知事は、テネシー州が原子力分野の人材育成、インフラ整備、規制環境の構築を進めており、核融合を含む次世代エネルギー技術の発展を後押ししていく姿勢を示した。
今回のライセンスは、米国原子力規制委員会(NRC)が核融合設備を核分裂炉とは異なる規制対象として位置付け、その規制を州政府に委任したことを受け(2026年8月7日記事参照)、TDEC放射線保健局が策定した核融合装置向けライセンス制度に基づき発給された。TDECのデビッド・セイヤーズ長官は、今回の取り組みがテネシー州の原子力イノベーション拠点としての地位を強化するものであり、他州のモデルケースになるとの見方を示した。テネシー州は2026年6月、核融合設備向けの独自の規制制度を施行しており、今回のライセンス発給は同制度の初適用事例となった。
タイプ・ワン・エナジーはTVAと連携し、テネシー州クリントン市のブル・ラン・エナジー・コンプレックス内で将来的な商業用核融合発電所建設を目指す「プロジェクト・インフィニティ」を進める計画だ。同社は2026年中に第1段階の建設を開始し、2034年の全面稼働を目指している。また、同拠点はオークリッジ国立研究所(ORNL)、テネシー大学などとの共同研究拠点としても活用される予定で、将来的にはステラレーター方式(注2)を採用した出力400メガワット級の核融合発電所「インフィニティ2」の建設が構想されている。
タイプ・ワン・エナジーのクリストファー・モウリー最高経営責任者(CEO)は、今回のライセンス発給について、核融合発電所向け規制制度が実際に運用され、核融合設備として初めて認可を受けた歴史的な節目だと評価した。また、テネシー州の制度は核融合発電の安全性と経済性を両立する国際的なモデルケースになるとの見解を示した。
テネシー州では近年、ORNLやTVAを核とした原子力・核融合関連産業の集積が進んでいる(2026年1月26日記事参照)。2026年8月には、核融合エネルギー関連スタートアップの京都フュージョニアリングがORNLと共同で、核融合発電に不可欠な増殖ブランケット技術を実証する世界初の試験施設「UNITY-3」をオークリッジに建設すると発表し、同社の米国拠点をオークリッジへ移転することも明らかにした(2026年8月14日記事参照)。
(注1)核融合装置などの運転に伴い発生する放射性物質の保管・管理・取り扱いに関して、州当局が発給する許認可。
(注2)超高温プラズマを外部の磁石コイルが作る磁場で閉じ込め、核融合の連続運転を目指す方式。
(檀野浩規)
(米国)
ビジネス短信 66d78d2f38125837





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