ウラン濃縮の米セントラス・エナジー、テネシー州に5億6,000万ドルを投じ遠心分離機製造を拡張へ
(米国)
アトランタ発
2026年01月26日
米国テネシー州のビル・リー知事(共和党)は1月23日、原子力産業向けの核燃料および関連サービスを提供するセントラス・エナジー(本社:メリーランド州ベセスダ)が同州オークリッジ市の施設に5億6,000万ドル以上を投じて、ウラン濃縮のための遠心分離機の製造を拡大すると発表
した。今回の拡張で430人の新規雇用を創出するという。
セントラスは、破綻した米国濃縮公社の後継企業として2014年に創業し、2014~2016年にオハイオ州ピケトンの工場で、低濃縮ウラン(LEU)の生産実証に成功した。オークリッジの同社の技術製造センターは、米国で唯一のウラン濃縮遠心分離機製造施設(注1)で、2024年11月には、6,000万ドルを投じて同センターの製造能力を拡張すると発表した(2024年11月27日記事参照)。
セントラスは1月6日、米国エネルギー省(DOE)より9億ドルの個別契約を受注し、ピケトンのウラン濃縮施設を拡張し、高純度低濃縮ウラン(HALEU、注2)の商業規模の生産を開始すると発表
した。同発表では、テネシー州オークリッジ市の遠心分離機製造施設の拡張についても言及されており、今回の発表で具体的な投資金額や雇用人数が明らかとなったかたちだ。オークリッジで製造される新型遠心分離機は、2029年にオハイオ州ピケトン工場において稼働を開始する予定だ。
テネシー州は、原子力基金(注3)を活用した原子力関連企業の誘致や教育・訓練プログラムの提供などにより、州の原子力開発・製造エコシステムの拡大を目指しており、同基金を活用して同州に進出した企業はセントラスで8社目(注4)となる(2026年1月22日記事参照)。今回選定されたオークリッジ市には、原子力関連産業が集積しているほか、米国エネルギー省管轄のオークリッジ国立研究所があり、原子力関連の研究も盛んだ(注5)。
(注1)同社は2025年12月、オークリッジの製造施設にて遠心分離機の製造を開始したと発表
した。
(注2)高純度低濃縮ウラン(HALEU)は、U235(ウラン同位体の1つで広く原子力発電に利用される)の濃度が5~20%のものを指す。
(注3)5,000万ドルが2023~2024会計年度予算で州議会から承認され、2024~2025会計年度予算では2,000万ドルが追加配分されている。
(注4)これまで同基金を活用し同州への投資を発表したのは、ステラレータ型核融合技術を開発するタイプ・ワン・エナジー、フランスの原子力燃料大手オラノ、遠心分離機などを製造するBWXテクノロジーズ、原子力産業向け高精度加工やエンジニアリングサービスなどを提供するマスター・マシーン、先進炉と燃料リサイクルの開発を進めているオクロ、可搬型小型原子炉(マイクロ炉)を開発するラディアント・インダストリーズ、レーザー式ウラン濃縮技術を開発するレーザー・アイソトープ・セパレーション・テクノロジーズ(LIST)の7社。
(注5)オークリッジには、1942年に開始された国家軍事プロジェクト「マンハッタン計画」の3つのオリジナルサイトの1つとして、ウラン濃縮施設が立地していた。
(檀野浩規)
(米国)
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