米テネシー州で原子力産業イベント開催、小型モジュール炉・核融合技術商業化の取り組み進む

(米国)

アトランタ発

2026年08月07日

米国東部テネシー州のテネシー経済協議会は845日、同州ノックスビルで、同地域の原子力産業に関する年次イベント「Nuclear Opportunities Workshop (NOW)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を開催した。1,200人以上が参加登録し、小型モジュール原子炉(SMR)開発企業や地元エンジニアリング会社など原子力産業に関連する約80社がブースを出展した。

テネシー州は、原子力基金(注1)を活用した原子力関連企業の誘致や教育・訓練プログラムの提供などにより、州の原子力開発・製造基盤の拡大を目指しており、9社が同基金を活用して同州に進出している(注2)。ノックスビル近郊のオークリッジには、原子力関連産業が集積しているほか、米国エネルギー省(DOE)傘下のオークリッジ国立研究所(ORNL)があり、原子力関連の研究も盛んだ(注3)。

NOWには産業界、政府機関、大学・研究機関など幅広い分野のステークホルダーが参加した。ビル・リー州知事(共和党)をはじめ、多くの地元政府関係者が参加したほか、同州選出のチャック・フレイシュマン連邦下院議員(共和党)が登壇した。また、マーシャ・ブラックバーン連邦上院議員とウィリアム・ハガティ連邦上院議員(いずれも共和党)からのビデオメッセージも放映された。

リー知事は、同州が原子力ルネサンスの中心地になりつつあると述べ、人材育成も含む州内産業基盤の重要性を強調したほか、同分野での韓国や日本とのパートナーシップ構築の重要性にも言及した。

写真 リー知事の講演の様子(ジェトロ撮影)

リー知事の講演の様子(ジェトロ撮影)

写真 会見の様子、左からブランドン・ウィリアムスDOE核安全保障担当次官兼国家核安全保障局(NNSA)長官、リー知事、フレイシュマン連邦下院議員(ジェトロ撮影)

会見の様子、左からブランドン・ウィリアムスDOE核安全保障担当次官兼国家核安全保障局(NNSA)長官、リー知事、フレイシュマン連邦下院議員(ジェトロ撮影)

会場では、オークリッジ近郊でSMR建設を進めるGEベルノバ日立ニュークリアエナジーが登壇するセッションや、ORNLとのパートナーシップを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている京都フュージョニアリングなどが登壇する核融合関連セッションなどが開催された。核融合セッションに登壇したタイプ・ワン・エナジーの渉外担当シニア・バイス・プレジデント、マット・マイルズ氏は、核融合は新しい技術分野であり、規制の枠組みはなお発展段階にあると指摘した。一方で、テネシー州は全米で初めて核融合向けの規制制度を整備しており(注4)、同社プロジェクトが許認可を取得する見込みだと述べた。

写真 講演会場の様子(ジェトロ撮影)

講演会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 展示会場の様子(ジェトロ撮影)

展示会場の様子(ジェトロ撮影)

また、京都フュージョニアリング・アメリカのビベイク・ウッパル社長は、ORNLとの官民連携の重要性について説明した。同氏は、現在、ワシントン州シアトルに置く同社の米国本社をオークリッジへ移転する予定であることを明らかにし、ORNLとの連携強化を通じて事業拡大を図る考えを示した。

テネシー州は、ORNLやテネシー川流域開発公社(TVA)を中心とする研究開発基盤に加え、原子力関連企業やスタートアップが集積する米国有数の原子力クラスターとして発展している。SMRや核融合といった次世代原子力技術の商業化に向けた取り組みが進む中、州政府による企業誘致や規制整備も後押しとなり、同州は研究開発から実証、製造までを担う拠点として、今後さらなる関連投資やサプライチェーンの集積が期待される。

(注1)州議会は、2023~2024会計年度予算で5,000万ドル承認し、2024~2025会計年度予算では2,000万ドル、2025~2026会計年度で2,500万ドルを追加配分し、基金総額は9,500万ドルに達した。

(注2)これまで同基金を活用し同州への投資を発表したのは、ステラレータ型核融合技術を開発するタイプ・ワン・エナジーやフランスの原子力燃料大手オラノの8社(2026年1月26日記事参照)のほか、先進的な核燃料製造に取り組むTRISO-Xは2026年7月、同基金を活用した投資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(注3)オークリッジには、1942年に開始された国家軍事プロジェクト「マンハッタン計画」の3つのオリジナルサイトの1つとして、ウラン濃縮施設が立地していた。

(注4)2023年、米国原子力規制委員会(NRC)は、核融合装置を商用核分裂炉と同様の「利用施設」としてではなく、既存の副産物物質(Byproduct Material)規制の枠組みで管理する方針を決定した。これに伴い、核融合装置の許認可・規制の運用については、NRC協定州(Agreement State)が担うこととなった〔米国原子力学会(ANS)のニュースサイト「Nuclear Newswire」6月11日〕。NRC協定州のテネシー州は2026年6月、全米で初めて、核融合装置に関する独自の規制枠組みを整備外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、核融合装置および核融合関連活動の許認可要件を定めた。オークリッジ市近郊のタイプ・ワン・エナジーの商業施設は、この新しい枠組みの下で最初の認可取得施設の1つになると見込まれている。

(檀野浩規)

(米国)

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