京都フュージョニアリング、ORNLと米テネシー州に核融合の実用化に向け試験施設建設へ

(米国、日本)

アトランタ発

2026年08月14日

核融合エネルギー関連スタートアップの京都フュージョニアリング(本社:東京都大田区)は8月12日、米国エネルギー省(DOE)傘下のオークリッジ国立研究所(ORNL)と共同で、核融合発電に不可欠な増殖ブランケット技術を実証する世界初の試験施設「UNITY-3」をテネシー州オークリッジに建設すると発表した。併せて、同社の米国拠点をオークリッジへ移転することも明らかにした。

増殖ブランケットは、商用核融合発電所が燃料となるトリチウムを自給するために必要な装置で、核融合分野の中でも実証段階が十分進んでいない技術の1つとされる。今回建設されるUNITY-3では、加速器方式の大容量重水素・三重水素(D-T)核融合中性子源を用いて、実機を模したブランケットにおいて中性子スペクトルやトリチウム生成量を計測し、ブランケット性能の実証とシミュレーションコードの検証を行う。

今回の取り組みは、同社とORNLが2026年1月に締結した戦略的パートナーシップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発展させるものだ。同時に、DOEが策定した「核融合科学技術ロードマップ(Fusion Science & Technology Roadmap)」で優先事項に位置付けられているほか、テネシー州の原子力エネルギー・サプライチェーン投資基金およびDOEの支援を受けて進められる。

また、同社は米国本社をオークリッジに移転する(注1)。今回のプロジェクトの一環として、同社は4,690万ドルを投資し、新たに51人を雇用する予定だ。

オークリッジなどテネシー州東部地域は、ORNLやテネシー川流域開発公社(TVA)を中心とする研究開発を基盤とし、原子力関連企業やスタートアップが集積する米国有数の原子力クラスターとして発展している(2026年8月7日記事参照)。テネシー州経済・地域開発局(TNECD)の発表によると、同州のビル・リー知事(共和党)は、同社のORNLとの提携およびオークリッジへの拠点設立は、安全で信頼性の高い次世代エネルギー分野における同州の主導的地位を一層強固にするとともに、成長とイノベーションの加速や州内の原子力エネルギーエコシステムの強化につながると述べた。

京都フュージョニアリングは、日本で培った核融合炉工学や燃料サイクル技術を強みとしている。同社はORNLとの連携を通じて、米国の研究開発基盤やサプライチェーンとの結び付きを強化するとともに、核融合分野における日米連携の拡大を図る考えだ。核融合エネルギーの商業化に向けた国際競争が激化する中、今回のプロジェクトは、日本企業が米国の核融合研究開発基盤と連携して事業拡大を図る事例として注目される(注2)。

(注1)同州ノックスビルで8月4~5日に開催された、同地域の原子力産業に関する年次イベント「Nuclear Opportunities Workshop (NOW)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」において、京都フュージョニアリング・アメリカのビベイク・ウッパル社長が、同社の米国本社をオークリッジへ移転する予定であることを明らかにしていた。

(注2)米国原子力学会(ANS)のニュースサイト「Nuclear Newswire」によると、2026年8月に開催された「ジェネシス・ミッション・サミット」において(2026年7月28日記事参照)、在米国日本大使館の山田重夫大使は、ORNLと京都フュージョニアリングの協力について、「両国の強みを結集している」と評価した。

(檀野浩規)

(米国、日本)

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