フィッチ、スリランカを「B-」に格上げ、改革実施と財政改善を評価

(スリランカ)

コロンボ発

2026年09月29日

米格付け大手のフィッチ・レーティングスは9月22日、スリランカの長期発行体デフォルト格付け(IDR)を「CCC+」から「B-」へ引き上げ、見通しを「安定的(Stable)」とした。

フィッチは格上げの理由として、構造改革に支えられたマクロ経済安定化政策の実施により、対外資金調達リスクが緩和され、外部ショックへの耐性が向上したことを挙げた。その結果、財政収支と対外収支は大幅に改善し、外貨準備高も緩やかに回復しているとした。また、財政規律の維持や税収拡大の取り組みにより、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字が維持され、政府債務残高の対GDP比も低下基調で推移すると見込んでいる。

財政面では、2026年の基礎的財政収支がGDP比2.6%の黒字になると予測した。2025年の5.4%からは縮小するものの、税制改革や輸入自動車需要の回復に伴う関税収入の増加などが歳入を押し上げるとしている。また、政府債務残高は2025年のGDP比96.7%から2026年には92.9%へ低下し、その後5年間で80%台前半まで低下を続けると予測している。歳入に占める利払い負担も2025年の45.6%から2026年には41.0%へ改善する見込みだ。

一方、対外部門については、米国・イラン紛争に伴うエネルギー価格上昇により輸入コストが増加し、観光客の流入も一時的に落ち込むことから、2026年の経常収支はGDP比1.2%の赤字に転じると予測した。ただし、海外就労者送金の増加がその影響を一部相殺するとしている。外貨準備高は、IMFや国際機関からの資金支援などを背景に、2026年末までに77億ドル(対外支払いの約2.9カ月分)まで増加すると見込んでいる。

実質GDP成長率については、過去2年間平均の5.0%から2026年は4.1%へ減速すると予測した。一方で、サイクロン「ディトワ」や米国・イラン紛争の影響にもかかわらず、スリランカ経済は一定の回復力を示していると評価した。他方、外国直接投資(FDI)の誘致、輸出部門の強化、国営企業の再建などは引き続き課題だとしている。

フィッチは、2024年の債務再編やマクロ経済調整の進展にもかかわらず、政府債務残高や利払い負担は依然として同格付け国と比べて高水準にあり、外貨準備高も限定的であると指摘した。また、今後5年間で対外債務返済負担の増加が見込まれ、特に2028年以降は返済負担が高まるとしている。その上で、財政規律の維持や歳入基盤の強化、外貨準備高の積み増し、輸出や海外送金の拡大が進んだ場合には格上げ要因となる一方、財政運営の悪化や歳入確保策の後退、外貨準備高の積み増し停滞などによる対外支払い能力の低下は格下げ要因となり得るとの見方を示した。

(ディロン・ヤシュミタ、志鎌大介)

(スリランカ)

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