国際知的財産保護フォーラム、タイ税関・経済警察と模倣品対策に関する意見交換会を実施
(タイ、日本)
知的資産部知的財産課
2026年09月30日
ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)のアジア大洋州プロジェクトチームは9月1日、東京のジェトロ本部で、タイ税関およびタイ警察中央捜査局経済犯罪取締部(以下、タイ経済警察)との意見交換会を開催した。多くの日本企業が事業を展開するタイでは、水際での取り締まりに加え、電子商取引(EC)を通じた模倣品流通への対応も課題だ。両当局が水際措置やオンライン上の取り締まり状況を説明し、日本企業を含むIIPPF参加企業・団体と模倣品対策上の実務的な課題について意見を交わした。会場とオンラインで合わせて39人が参加した。
タイ税関は、権利者などが権利情報や製品情報を登録し、税関職員が侵害の疑いがある貨物の確認に用いる「Thai Customs IPR Recordation System(TCIRs)」を紹介した。真正品と模倣品の識別情報を充実させ、随時更新することが迅速な判断に重要だとした。TCIRsでは2022年以降、2,000件超の登録申請が承認されているという。
また、輸出入貨物をリスクに応じて緑、黄、赤に分類し、通関、書類確認、検査の要否を判断していると説明した。質疑応答では、タイ税関は、過去の差し止め・摘発事例などに基づき検査対象貨物を選別しているとした。世界保健機関(WHO)の基準を満たさない製品など、健康・安全上のリスクがある製品を厳格に取り締まり、世界税関機構(WCO)の国際共同オペレーションにも参加しているという。
タイ税関の講演の様子(ジェトロ撮影)
タイ経済警察によると、2022年から2026年7月までに知的財産権侵害に関連する58件を摘発、容疑者76人を検挙し、同期間の推定被害額は約4億バーツ(約20億円、1バーツ=約4.9円)に上った。食品、自動車部品、医薬・医療関連品などが摘発対象となり、模倣品は消費者の健康や安全、正規ブランドへの信用にも影響を及ぼすと指摘した。オンライン上の侵害では、情報が短期間で変化するため、権利者による監視やテスト購入、識別情報の提供、迅速な証拠収集が重要だとした。
意見交換では、タイ経済警察が、2026年7月にタイ知的財産局などとともにECプラットフォームのShopee(注2)と締結した覚書(MOU)について説明した。MOUにより、権利者がタイ知的財産局を通じて申請した場合、必要な情報を関係当局とShopeeの間で迅速かつ包括的に共有できるという。これにより、手続きの停滞を抑え、共同対策が可能になる。運用に当たっては、個人情報保護にも配慮するとした。また、Lazada(注3)やTikTok Shopとも、連携拡大に向けた協議を進めているという。
タイ経済警察の講演の様子(ジェトロ撮影)
今回の意見交換では、タイ当局による水際での取り締まりやオンライン上の模倣品対策に加え、ShopeeとのMOU締結など、ECプラットフォームとの連携に新たな動きがみられた。こうした中、日本企業にとっても、当局との連携や積極的な情報提供の重要性が確認された。
質疑応答の様子(ジェトロ撮影)
(注1)2002年4月に設立され、模倣品・海賊版などの海外における知的財産権侵害問題の解決を目指す企業・団体が、業界横断的に集まるプラットフォーム。特許庁が活動を支援し、ジェトロが事務局を務める。海外の政府機関やECプラットフォーム事業者などとの意見交換を行う地域・分野別のプロジェクトチームを設置しており、アジア大洋州プロジェクトチームは、ASEANやインドなどにおける模倣品対策に取り組んでいる。
(注2)東南アジアや台湾で広く利用されているECプラットフォーム。
(注3)東南アジアで広く利用されている、アリババグループ傘下のECプラットフォーム。
(山本理)
(タイ、日本)





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