インド最大級のフィンテックイベントが開催、次世代の金融政策構想発表

(インド)

ムンバイ発

2026年09月24日

インド西部マハーラーシュトラ(MH)州のムンバイで98日から11日にかけ、世界最大級のフィンテックイベント「Global FinTech Fest 2026GFF)」が開催された。GFFは、同国の政府機関や金融規制当局、業界団体、金融機関、フィンテック企業などが集まり、金融政策や技術戦略の方向性を議論する国際会議だ。2026年は「自律型AIAgentic AI、注1)」「資産のトークン化(注2)」「量子技術」を主要テーマに掲げ、インドのフィンテックが決済分野を中心とした発展から、資産運用や金融サービスの高度化へと向かう方向性が示された。GFFには10万人を超える来場者と8,000以上の機関・団体が参加したほか、ナレンドラ・モディ首相、ニルマラ・シタラマン財務相、デベンドラ・ファドナビスMH州首相、インド準備銀行(RBI、中央銀行)のサンジャイ・マルホトラ総裁らが登壇した。

ファドナビスMH州首相は、統合決済インターフェース(UPI)によって実現した「決済の民主化」に続き、今後は融資、投資、資産保有の民主化を進めていく方針を主張した。その中核施策として「DELTA ActDigitization and Exchange of Land Token Asset Act、注3)」を整備し、MH州をインド初の「トークン化された州」とする構想を掲げた。また、自律型人工知能(AI)、トークン化、量子技術を「次世代金融を支える柱」と位置付け、遊休資産(注4)の活用や金融アクセスの向上を通じて、新たな経済機会の創出を目指す考えを示した。

写真 GFFで講演をするファドナビスMH州首相(ジェトロ撮影)

GFFで講演をするファドナビスMH州首相(ジェトロ撮影)

RBIのマルホトラ総裁は、「フィンテックが過去10年間でインドの金融構造を大きく変化させ、UPIなどのデジタル公共インフラを通じて誰もが金融サービスを利用できる環境を実現した」と評価した。その上で、農村部や地方都市を含む金融サービスが十分に行き届いていない層や、中小・零細企業への金融アクセス拡大が今後の重要課題になると指摘した。また、自律型AIや量子技術は、顧客サービス向上や融資機会の拡大、不正防止などを実現するための手段であり、最も重要なのは利用者からの信頼を確保することだと強調した。さらに、顧客データの適切な管理やサイバーセキュリティー強化の必要性を訴え、フィンテック企業を将来の金融システム構築に向けた戦略的パートナーと位置付けた。

写真 GFFで講演をするマルホトラ総裁(ジェトロ撮影)

GFFで講演をするマルホトラ総裁(ジェトロ撮影)

(注1)利用者に代わって情報収集や分析、一定の条件の下で自律的に判断・実行するAI。金融分野では、融資提案、資産運用、不正検知、顧客対応などへの活用が期待される。

(注2)不動産や債券などの資産や権利を、ブロックチェーン上でデジタル証票(トークン)として管理すること。資産の小口化や流動性向上、取引コストの削減などが期待される。

(注3)土地や不動産などの資産をブロックチェーン上でトークン化し、取引できるようにするための法的枠組み。

(注4)価値を有しているものの、十分に活用・流動化されていない資産を指す。

(野本直希)

(インド)

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