モーリタニア、グリーン水素「アマン」計画で包括契約を締結
(モーリタニア、オーストラリア)
パリ発
2026年09月25日
モーリタニアのエネルギー・石油省は9月16日、再生可能エネルギープロジェクトの開発を手掛けるオーストラリアのCWPグローバルとグリーン水素プロジェクト「アマン(AMAN)」の開発に関する包括契約に署名した。両者は2021年に覚書を、2022年には枠組み協定を締結している。今回の包括契約は、同プロジェクトの今後の開発段階に適用される長期的な契約枠組みを定めるとともに、財政・経済・開発面の条件も規定している。今回の署名は、世界最大級のグリーン水素プロジェクトの1つであるAMANプロジェクトにとって大きな前進となる。また、モーリタニアでは複数のグリーン水素プロジェクトが進められているが(注)、包括契約の締結は同プロジェクトが初めてとなる。
モハメド・ウルドモハメド・マラニン・ウルド・ハレド・エネルギー・石油相は、「同契約は、国際投資家がモーリタニアのエネルギー部門に寄せる信頼を示すものであり、モーリタニアを再生可能エネルギーおよびグリーン水素の世界的拠点へと発展させるという国家目標に向けた重要な一歩だ」と述べた。CWPグローバルのマーク・クランドール会長は、「モーリタニアは、世界市場にクリーンエネルギーを供給する上で理想的な条件を備えている。同プロジェクトは現在、基本設計(FEED)段階に到達しており、2030年までに最終投資決定(FID)を行うことを目指す」と説明した。
同プロジェクトは、最大30ギガワットの風力・太陽光発電設備を導入し、年間でグリーン水素120万トン、グリーンアンモニア660万トンの生産を目指している。生産した水素・アンモニアは、肥料製造、食料安全保障の強化、クリーン燃料の供給に活用される予定。
モーリタニアにグリーンスチール(低炭素鉄鋼)の製造、鉄鉱石の国内加工という新たな産業発展の機会をもたらすことも期待されている。
国際エネルギー機関(IEA)の「Global Hydrogen Review」アフリカ編によると、アフリカにおける低排出水素の生産量は現在わずか6,000トンで、全量が再生可能エネルギー由来だ。2030年までの稼働を計画する水素プロジェクトは31件あり、これらが実現すれば生産量は120万トンまで増加する可能性がある。しかし、最終投資決定(FID)に至った案件は現時点で1件のみだ。IEAは、多くの案件がギガワット級の大規模プロジェクトであり、事業化・稼働までには時間を要するとの見方を示している。
(注)現在、モーリタニア政府が公開しているグリーン水素プロジェクトは5件ある。AMANプロジェクトに加え、英国のチャリオットとフランスのトタルエナジーズによる「ヌール(Nour)」、英国のBPによる「ナッセム(Nassem)」、デンマークのグリンゴー・エナジーによる「メガトン・ムーン(Megaton Moon)」と、エジプトのインフィニティー・パワー、アラブ首長国連邦(UAE)のマスダールおよびドイツのコンジュンクタの3社によるプロジェクトだ。
(渡辺智子)
(モーリタニア、オーストラリア)
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