日立エナジー、米ミシシッピ州に5億2,800万ドル投資、変圧器供給能力を拡大
(米国)
ヒューストン発
2026年09月30日
日立製作所子会社の日立エナジー(Hitachi Energy)は9月15日、5億2,800万ドルを投じて、米ミシシッピ州コピア郡ガルマンに変圧器製造工場を新設すると発表
した。同社にとって、米国内で過去最大級の単独投資案件となる。
新工場は、同社の既存工場が所在するクリスタル・スプリングスから約6.5マイル(約10キロメートル)の近郊に、既存の2倍以上の規模で建設する計画だ。データセンターや半導体製造施設などの大規模産業設備向けに使用される中容量帯の変圧器の生産を想定しており、送電網から産業施設への電力供給を支える機器の製造を拡充することで、拡大する電力インフラ需要への対応を図る。2026年後半に着工し、2029年の操業開始を予定している。新工場の完成後、変圧器製造は新施設へ集約し、既存工場は倉庫や研修などの施設として活用する方針だ。
日立エナジーは、今回の投資判断の背景として、既存工場を中心に長年培われてきた熟練労働者のエコシステムを挙げた。変圧器製造に必要な特殊技能を持つ人材の育成には長期間を要する。同社は州政府や地域コミュニティーの支援の下で培ってきた人材基盤を活用しながら生産能力の拡大を図るため、既存工場の近隣での投資を決定したと述べた。
今回の投資は、日立エナジーが米国で進める総額約15億ドルの製造能力拡張計画の中核をなす。バージニア州サウスボストンでの4億5,700万ドルを投じた大型変圧器工場拡張、テネシー州アラモでの1億600万ドルの変圧器部品増産計画、ペンシルベニア州ウェストモアランド郡での高圧送電設備向け7,000万ドルの拡張計画に続くもので、米国内の送配電機器の製造・供給能力を強化する戦略だ。また、日立グループとしては米国において、2020年から140億ドル以上の投資を行ってきたとしている。
ミシシッピ州のテート・リーブス知事(共和党)は、今回の投資について「米国内のどの州にも投資できたが、ミシシッピ州を選んだ」とコメントし、本投資は地域の雇用創出と国内製造能力の拡大につながるとして歓迎した。ミシシッピ州開発庁の発表によると、州の企業誘致制度「Mississippi Flexible Tax Incentive(MFLEX、注)」プログラムによる税制優遇措置に加え、用地開発やインフラ整備に対する支援のほか、郡からも支援が行われる。
発表はテキサス州ヒューストンで開催された、G20エネルギー会合で行われ、米エネルギー省(DOE)のクリス・ライト長官はじめエネルギー担当政府高官や企業幹部らが参加した。米国で政策課題となっている電力需給の逼迫や送配電設備の不足への対応として、今回の投資が発電能力の拡大だけでなく、それを支える電力インフラの国内供給基盤強化につながることに、期待が寄せられた。
(注)州内での設備投資額、雇用創出数、給与額などに応じて、法人所得税、売上税・使用税、フランチャイズ税などに充当可能な税額控除を付与する。控除は最長10年間利用できる。対象となる主な業種は、製造業、倉庫・物流事業、研究開発施設、地域・全国本社機能、航空関連施設、情報処理センター、ハイテク企業、通信事業・データセンターなど。プログラムの適用対象は、新規雇用10件以上あるいは250万ドル以上の投資を行う事業者。
(キリアン知佳)
(米国)
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