フランス上院、AIによる環境負荷と欧州にとっての機会に関する報告書を採択

(フランス)

パリ発

2026年09月29日

フランス上院の国土整備・持続可能な開発委員会は9月16日、「人工知能(AI)の環境負荷:地球にとっての課題、フランス・欧州にとっての機会」と題する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(フランス語)を全会一致で採択し、21日、報告者の3人(ギヨーム・シュブロリエ上院議員、ダミアン・ミシャレ上院議員、シモン・ユズナ上院議員)が記者会見で報告書について発表した。

報告書は、AIによってデジタル分野での環境負荷の中心が、電子端末からAIの学習・推論を支えるデータセンターへ移行し、今後、電力消費が大幅に増加、水資源利用や重要鉱物への依存も拡大すると指摘。一方、AIには環境分野への活用可能性もあるが、その効果によって負荷を相殺できるかは不確実としている。その上で、(1)環境性能をデータセンター誘致におけるフランスの競争力とすること、(2)フランス・EUで「省資源型AI(IA frugale)」を推進すること、(3)AIの環境負荷を測定・公開し、省資源型利用を促すこと、の3本柱で、16の提言を行った。具体的には、持続可能なデータセンターの利用を促進するためのインセンティブを備えた規制枠組みの整備(提言1)、データセンターの電力網への接続の大幅な加速(提言2)、特化型の小規模AIモデルの開発に対する公的支援の確保(提言8)、省資源型AIソリューションの発展に向けた公共調達の活用(提言10)、言語モデルの環境負荷について事業者に公開を義務付けるべき項目の特定(提言12)、などを提言し、省資源型AIの欧州での推進は、最終的に、「AI版エアバス」の創出につながり得る(提言11)としている。

フランスは、同委員会が2020年にまとめた報告書の成果を踏まえて、2021年11月に「REEN法(デジタル環境負荷削減法)」を策定し、デジタル技術の環境負荷に関して世界で初めて法制化を行った。今回は、それ以降のAIの急速な発展を踏まえて、AIによる環境負荷は地球規模の課題であると同時に、適切な政策を講じればフランスや欧州にとってむしろ競争力を高めるための大きな機会になると結論付けた。フランスは2018年に「国家AI戦略」を打ち出して以降、AI強国を目指して、第1期に15億ユーロ、第2期(2022年~)に10億ユーロの公的支援を投じてきた。2025年2月には第3次国家AI戦略を発表し、データセンター用地の整備、AI人材の育成・誘致、AI利用の加速などを進めている(2025年2月17日記事参照)。

(加藤直子)

(フランス)

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