現代自動車グループ傘下のボストン・ダイナミクス、米ジョージア州にフィジカルAI実証拠点を開設

(米国、韓国)

アトランタ発

2026年09月29日

韓国の現代自動車グループ傘下のロボット開発企業ボストン・ダイナミクスは9月21日、ジョージア州サバンナ近郊の現代自動車グループ・メタプラント・アメリカ(HMGMA)内に、人型ロボット「アトラス(Atlas)」の訓練・実証施設「ロボティックス・メタプラント・アプリケーション・センター(RMAC)」を開設したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同施設では、実際の自動車製造現場を活用してアトラスの学習を進める。ボストン・ダイナミクスは今回の取り組みを、人工知能(AI)が現実世界で作業を行う「フィジカルAI」戦略の一環と位置付けている。現代自動車グループは今後数年で、現代自動車および起亜の工場にアトラスを2万5,000台導入する計画も明らかにした。

RMACは、アトラスを現代自動車グループの製造工程に統合するための実証拠点として運営し、当面は、自動車部品の物流や組み立て順に応じた部品配置などの業務で訓練する。ボストン・ダイナミクスは、2030年までに部品組み立て工程への適用を目指すほか、将来的には重量物の搬送や反復作業など、身体的負荷の高い業務にも活用範囲を広げる方針を示した。また、2027年には施設を現在の約10倍規模に拡張する計画で、自動車以外にも半導体、物流、航空宇宙などでの用途開拓を進めるとしている。

ボストン・ダイナミクスは2021年に現代自動車グループの傘下となった。現代自動車グループは買収当時、ロボット部品の製造からスマート物流ソリューションまでを含むロボティクスのバリューチェーン構築を掲げており、今回のRMAC開設はその戦略の一環とみられる。同社は四足歩行ロボット「スポット(Spot)」、物流向けロボット「ストレッチ(Stretch)」、人型ロボット「アトラス」を展開しており、今回の施設開設により、アトラスを実際の製造環境で継続的に訓練・検証する体制を整えた。製造現場で蓄積されるデータを活用し、ロボットの性能向上と実装拡大を図る狙いがある。

今回の発表で注目されるのは、現代自動車グループがロボットの開発企業と利用企業の双方の立場を持つ点だ。ボストン・ダイナミクスのザック・ヤコウスキー最高製品・技術責任者(CPTO)は、現代自動車グループとともに「企業規模でのフィジカルAIを切り開いている」と述べた。RMACは単なる実証施設ではなく、ロボットの訓練、評価、導入を継続的に行う拠点として位置付けられている。現代自動車グループはアトラスの導入拡大に加え、米国内で年産3万台規模のロボット生産施設の設立も計画しており、製造業におけるフィジカルAIの事業化に向けた取り組みとして注目される。

(紀井寿雄)

(米国、韓国)

ビジネス短信 1317bdd3e05caf4d