米製薬大手イーライリリー、ヒューストンで65億ドル規模の医薬品原料工場が着工

(米国)

ヒューストン発

2026年09月29日

米国製薬大手イーライリリー(本社:インディアナ州)は9月21日、テキサス州ハリス郡ヒューストンで医薬品原料(API、注1)製造工場の起工式外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを実施した。同工場への投資額は65億ドルで、600人超の高賃金雇用に加え、建設期間中には約4,000人の雇用創出が見込まれる。2030年の稼働開始を予定しており、テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)によれば、同州で最大級のAPI製造投資案件となる。

新工場では、肥満症治療薬「オルフォルグリプロン(orforglipron、商品名:Foundayo)」をはじめとする低分子医薬品や先端治療薬を製造する。同薬は2026年4月に米国で承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされたほか、40カ国・地域以上で承認審査が進められており、2027年の本格的な世界展開を目指している。デイビッド・A・リックス会長兼最高経営責任者(CEO)は、同工場で製造した製品を、米国内向けだけでなく海外にも供給する方針を示している。

新工場は、ヒューストン北東部の大規模開発地区ジェネレーション・パーク内の236エーカー(約96ヘクタール)の用地に建設される。同地区を選定した理由として、インセンティブ制度、インフラや物流網へのアクセス、良好な事業環境などを挙げている。また、同地区に立地するサン・ジャシント・カレッジに対し、製薬製造人材の育成支援として1,250万ドルを拠出する。同社は、ヒューストンへの投資は地域人材への投資でもあるとして、同校との連携を通じた人材育成への期待を示した。

同工場は、医薬品製造の国内回帰を目的として同社が進める総額500億ドル規模の米国投資計画の一環であり、2025年2月に発表した米国内4カ所の新製造工場建設計画にも含まれる(2025年3月6日記事参照)。なお、テキサス州は同案件に対し、550万ドルの「テキサス・エンタープライズ・ファンド(TEF)」の助成金(注2)を交付するとともに、州の大型投資案件向け支援制度「JETI(注3)」の対象としている。

(注1)医薬品の成分のうち、目的とする効果を示す有効成分。

(注2)投資先が未確定で、州外との立地競争がある大型投資案件を対象に、雇用創出と設備投資の実績に応じて助成する制度。

(注3)雇用・エネルギー・技術・イノベーション(Texas Jobs, Energy, Technology, and Innovation:JETI)プログラムは、製造、発電、資源開発、研究開発、ハイテクインフラ分野などの大型建設案件を対象に、投資額や雇用創出規模に応じて学区税の課税評価額を最大10年間50%軽減する制度(特区内案件は追加優遇あり)。

(綿谷鮎子)

(米国)

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