ジェトロ、飲食業の米ニューヨーク進出に関するウェビナーを開催
(米国、日本)
ニューヨーク発
2026年09月28日
ジェトロは9月14日、「飲食業のニューヨーク進出で押さえるべき人事・法務の実務ポイント-法人設立、人材確保、雇用管理からリカーライセンス取得を解説-」と題したウェビナーを開催した。飲食・サービス分野の企業をはじめ、法律・会計事務所、金融関係者など約50人が参加した。同ウェビナーは、ジェトロの「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業」の一環として開催し、同事業の士業分野コーディネーターの川崎晋平氏〔川崎法律事務所(Kawasaki Law Office)代表弁護士〕が講師を務めた。
本ウェビナーでは、米国ニューヨークで飲食店を開業するための準備の全体像と注意点を、実務の観点から解説した。川崎氏によれば、開業にあたっては複数の準備を並行して進める必要があるという。その中でも法人設立は、ビザ申請、銀行口座開設、店舗リース契約、営業ライセンス・各種許認可の取得など、後続の準備の前提になるため、逆算して時期を決める重要性を強調した。また、法人設立後には、現地銀行口座開設の審査で時間がかかるほか、日本からの資金移動にも一定の準備が必要になるため、物件の内見などで渡米する機会を利用し、早期に口座開設に着手すべきと述べた。
店舗リース契約については、重要な条件は意向表明書(LOI)の段階で確認・交渉しておくべきと指摘した。特に、月額家賃だけでなく、工事、譲渡、解約を想定した条項や、家賃以外にかかる費用、保証などの確認が必要と述べた。よくある失敗例として、リース締結後に、物件の用途や工事可否の問題で、予定していた用途で営業できないことが判明するケースを挙げた。
飲食業では特に、アルコール飲料の提供に必要なリカーライセンスの申請が重要になる。川崎氏は、米国、特にニューヨークにおけるリカーライセンスの申請は、必要書類や審査項目が多く、ビザ申請に匹敵するほど準備に手間と時間を要する手続きだと説明した。同ライセンスの審査では、申請元企業やその役員と株主だけでなく、物件の所在地や周辺環境も考慮される。そのため、物件を決定する前に弁護士に相談し、希望するライセンスの取得可能性を確認することを推奨した。
川崎氏は、現地スタッフの雇用ルールについて、日本と異なる点が多く、特にニューヨークではチップや残業代の取り扱い、勤務時間の管理、職務内容や給与要件に応じた従業員区分を誤ると、訴訟につながるケースが多発していると指摘した。採用前に雇用条件や社内ルール、給与支払いの仕組みを整理し、書類を準備することを強調した。
ウェビナー参加者からは、「開業までのプロセスや、事例を含めた説明がわかりやすかった」「リカーライセンスの取り扱いについて新しい情報が得られた」など、実際の失敗事例や対処法を含めた解説を評価する声が寄せられた。
本ウェビナーのアーカイブ動画は、ジェトロのウェブサイト(ウェビナー/WEBセミナー)で配信予定。ビザ・労務関連の手続きや、法人設立、店舗の賃貸契約などは、ジェトロの調査レポート「米国における事業進出マニュアル」も併せて参照。
(清野華蓮)
(米国、日本)





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