米国務省、コロンビアと重要鉱物などで協力に合意、議会は供給確保に関し公聴会開催
(米国、アフリカ、中央アジア、コロンビア)
ニューヨーク発
2026年09月14日
米国国務省は9月8日、マルコ・ルビオ国務長官とコロンビアのオマル・ブラ・エスコバール外務相が重要鉱物に関する協力枠組みおよび民生用原子力に関する協力覚書の2つの取り決めに署名したと発表
した。
重要鉱物の枠組みでは、両政府が特定した重要鉱物の採掘・加工プロジェクトに対し、政府・民間機関による出資や融資の支援などを提供することが示された。また、米国はコロンビアに対し、許認可手続きの簡素化や最低価格の導入をはじめとする市場を保護する価格メカニズムの構築などでの協力を求める。
米国は重要鉱物サプライチェーンの多角化に向けた取り組みを進めている。連邦議会下院歳入委員会は9月2日、重要鉱物の供給確保に向けた諸外国との関係強化をテーマとする公聴会を開催
した。米国が経済や軍事の領域で不可欠な重要鉱物資源を中国に依存する中、公聴会に登壇した専門家は、重要鉱物の供給確保の重要性をあらためて説くとともに、アフリカや中央アジアの国々との関係構築が重要であると主張した。
同委員会が9月4日に公表した公聴会の要旨
によると、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の重要鉱物安全保障プログラムでディレクターを務めるグレイスリン・バスカラン氏は、中国の希土類(レアアース)の輸出管理強化(2025年4月7日記事参照)が、短期間で米国の自動車産業に悪影響を及ぼしたとして、重要鉱物の供給確保の経済安全保障上の重要性を強調した。その上で、米国の戦略的技術の発展については、その原材料のサプライチェーンを支配できるかどうかに左右されると主張した。
米ロビイング企業のBGRグループでシニア・アドバイザーを務めるダニエル・ルンデ氏は、資源国のアフリカや中央アジア各国との関係を強化することの重要性を説いた。アフリカについては、特にサブサハラ・アフリカ諸国に対する特恵関税制度「アフリカ成長機会法(AGOA、注1)」の延長が、米国企業のアフリカでのビジネス機会を生み出し、米国と同地域の経済的関係性を深化させると述べ、AGOAの適用期間の長期延長の必要性を訴えた。また、中央アジアの国々は米国との関係深化を望んでいると同時に、米国も同地域の重要性を認識しているとした上で、米国企業の進出時に障害となり得る規制などを取り除くよう同地域の国々に働きかけることが重要だとした。また、米国の関与が限られる場合、隣接する中国やロシアなどが関係を強化し得ると警鐘を鳴らした。
米シンクタンクのアトランティック・カウンシルのユーラシア・センターでシニア・ディレクターを務めるジョン・ハーベスト氏は、中央アジア産出の重要鉱物の輸送の課題として、同地域の国々が内陸国である点を挙げた。近隣の中国やロシアを経由することなく、米国や同盟国に届けるための輸送ルートの開発が重要だと主張し、その実現に向けた具体例として、米国がアルメニアとアゼルバイジャンでの開発を目指す「国際平和・繁栄のためのトランプ・ルート(TRIPP、注2)」の進展が重要だと指摘した。
(注1)米国とサブサハラ地域との貿易投資拡大や、同地域の持続可能な経済成長の促進などを目的とした制度で、米国通商代表部(USTR)による年次審査の下、市場経済、法の支配、政治的多様性などの要件を満たしていると認められた国に対し、6,800以上の産品の関税を免除する。公聴会の開催同日、有効期限を2028年末まで延長する法案が成立した(2026年9月4日記事参照)。
(注2)アルメニア領内を通り、アゼルバイジャン本土と同国の飛び地となるナヒチェバン自治共和国を結ぶ「ザンゲズル回廊」を指す。同回廊の開発は、2025年8月に米国でドナルド・トランプ大統領立ち会いの下で発表された、アルメニアとアゼルバイジャン間の和平実現に向けた共同宣言の中に盛り込まれており(2025年8月13日記事参照)、2026年6月には、その開発のための枠組み協定を米国とアルメニアが締結した(2026年6月10日記事参照)。
(滝本慎一郎)
(米国、アフリカ、中央アジア、コロンビア)
ビジネス短信 006bfe5e7c4484af





閉じる