中国司法部、EUの京東に対するFSR調査を不当域外管轄措置に認定、同調査実施への協力を禁止

(中国、EU)

北京発

2026年08月21日

中国司法部は8月19日、公告第8号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、「反外国不当域外管轄条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の規定に基づき、商務部など関連部門との調査によって、EUの「外国補助金規則(FSR)」によるEC大手京東へのEUの調査における中国の企業・団体への越境調査が不当な域外管轄措置であると認定した(注)。その上で、いかなる組織・個人も同措置の執行あるいは執行への協力を行ってはならないとした。本公告は即日施行された。

司法部は同日発表した報道官談話において、EUが京東に対する調査において、中国の企業・団体に対して広範かつ不必要な中国国内の情報を不当に要求したことは国際法治を深刻に損なうものと指摘した。また、EUに対して、「外国補助金」を調査ツールとして乱用することをやめ、EUへの投資や事業展開を行う企業に対する公平・公正・予見可能な市場環境の構築を求めた。EU側が対処しない場合にはさらなる対抗措置の実施も示唆した。

欧州委員会は5月28日、京東によるドイツ小売企業セコノミー (Ceconomy)買収について、FSRに基づく調査開始を公表していた。調査理由としては、京東が融資や税の優遇および中国政府に属する可能性がある企業・団体から提供された補助などを含む「外国補助金」を得ている可能性があり、EU域内市場における公平な競争に影響を与える可能性があると指摘していた。EUの調査結果および本取引に対する最終的な決定は10月2日までに公表するとされていた(「財新」8月20日)。

「反外国不当域外管轄条例」は2026年4月7日に施行されたもので、外国が国際法や国際関係の基本原則に違反し、不当な域外管轄措置(注)を講じ、中国の国家主権、安全、利益を損なった場合、中国政府は相応の措置を取ると定めている(2026年4月15日記事参照)。司法部は2026年5月にもEUのFSRに基づくセキュリティー機器製造の同方威視への調査を不当な域外管轄措置と認定しており、同条例に基づく措置は今回が2件目となる(2026年5月19日記事参照)。

なお、王文涛商務部長は欧州訪問中の6月29日、欧州委員会のマロシュ・シェフチェビッチ貿易・経済安全保障担当委員と共同で中国EU貿易投資協議メカニズムの初会合を主宰し、「貿易・投資の均衡」「輸出管理」「知的財産権」「WTO改革」の作業部会の設置や共同モニタリング・メカニズムの設置で合意した。王部長はその際、EUの経済・貿易政策手段や対中制限措置は、中国EU間の正常な経済・貿易協力および世界のサプライチェーンの安定に深刻な影響を与えていると指摘し、EU側に中国とEUの経済関係全体の観点から中国側の重大な懸念を重視し、経済貿易摩擦の激化を回避するよう求めていた(2026年7月6日記事参照)。

(注)域外管轄は、自国の裁判権の及ばない地域にいる個人や企業などに対し、自国の法律を適用して司法管轄権を行使することを指す。

(小宮昇平)

(中国、EU)

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