マレーシアへの米301条関税10%、政府が声明を発表
(マレーシア、米国)
クアラルンプール発
2026年08月06日
マレーシア投資貿易産業省(MITI)は7月24日、米国通商代表部(USTR)による追加関税措置を受け、声明
を発表した。この措置は、1974年通商法301条に基づき、強制労働産品の輸入を禁止していない、あるいは輸入を禁止するための効果的な措置を講じていないことを理由に、マレーシアからの輸入品に10%の追加関税を課すものだ(2026年7月24日記事参照)。MITIは追加関税率が相対的に低かった点について、マレーシアが強制労働産品の輸入禁止措置の導入・施行を米国側に約束している点が考慮されたためとした。また、301条に基づき別途調査が進められている過剰生産能力(注1)については、USTRが関税率を決定次第、MITI関係者に通知するとともに、米国との協議を継続するとした。
USTRは6月2日、強制労働産品の輸入禁止措置の実施に関する301条調査結果を発表し、併せて追加関税措置を提案していた(2026年6月3日記事参照)。これを受けてMITIは6月4日、調査結果は国内の強制労働慣行や労働環境を反映したものではなく、「第三国からマレーシアに輸入される物品や原材料のうち、強制労働によって生産されたものを審査し、輸入を禁止するための特定の法律が、現時点では整備されていないことを明らかにしたものだ」とする声明
を発表した。6月23日の国会で、MITIのジョハリ・アブドゥル・ガニ大臣が、強制労働に関する省庁横断タスクフォース(注2)の立ち上げを発表し、強制労働産品の輸入を禁止する制度の構築を進める方針を示した。また、今回の追加関税措置の発表に先立つ7月22日に、同大臣がUSTRのジェミソン・グリア代表と会談し、通商法301条や通商拡大法232条に基づく調査の進展や両国の貿易関係強化に向けた取り組みを議論していた。
なお、追加関税提案に対して、マレーシア製造業者連盟(FMM)もUSTRに書簡を提出済みで、強制労働の排除に賛同する一方、追加関税が法令を順守する製造業者に不利益を与えたり、両国間の既存の貿易関係やサプライチェーンを混乱させたりすべきではないと強調していた(7月5日付FMMプレスリリース
)。
今回の追加関税では、それまで122条に基づく追加関税(注3)と比べ、除外品目の範囲が拡大した。全対象国・地域の除外品目として、一部の半導体計測・試験装置が追加されたほか、マレーシアではパーム油、パーム核油、オレオケミカル製品、合板などが新たに除外対象となった(注4)。CIMBリサーチは、米国関税の実質的な負担は一定程度、軽減されたとみる一方、過剰生産能力に関して追加関税が課された場合、マレーシアの関税率は15~19%に上昇し、相互関税の水準に近づく可能性があると指摘する(ザ・エッジ7月27日)。
(注1)マレーシアを含む16カ国・地域を対象に、製造業における過剰生産能力や過剰生産に関連する政策や慣行について調査を行うというもの。調査結果によっては、対象国・地域の製品に対して追加関税などの輸入制限措置が講じられる可能性がある。詳細は2026年3月12日記事参照。
(注2)タスクフォースはMITIを議長とし、財務省、外務省、内務省、人的資源省、運輸省が参加する(ザ・エッジ6月23日)。
(注3)相互関税を含む国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置の停止を受けて導入された、122条に基づく10%の追加関税措置。2月24日から施行され7月24日が期限となっていた。詳細は2026年2月24日記事参照。
(注4)詳細はUSTRの官報
254~259ページを参照。
(山口あづ希)
(マレーシア、米国)





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