7月の米雇用統計、新規雇用者数は2万3,000人減少
(米国)
ニューヨーク発
2026年08月14日
米国労働省労働統計局(BLS)は8月7日、2026年7月の雇用統計を発表
した。非農業部門の新規雇用者数は前月比2万3,000人減となり、ここ数カ月続いた雇用の伸びに陰りが見られる(2026年7月14日記事参照)。また、5月の雇用者数増加は当初の12万9,000人から6万3,000人へ、6月は5万7,000人から2万人へ、それぞれ大幅に下方修正された。市場では、7月の雇用者数が8万3,000人増加すると予想されていたため、今回の結果は労働市場の予想以上の減速を示すものとなった(CNBC、8月7日付)。
一方、家計調査(注)の結果によると、失業率は前月の4.2%から4.1%へ0.1ポイント低下し、失業者数も17万8,000人減少したが、BLSは失業率、失業者数ともおおむね「横ばい」と評価している(添付資料表1、図1参照)。失業率の低下は主に、労働参加率の低迷による影響を受けた可能性がある。労働参加率は依然として低水準にとどまっている。7月の就業者数は8万7,000人減少した一方、労働力人口に含まれない人々は38万1,000人増加した。「ニューヨーク・タイムズ」紙(8月7日付)は、労働参加率低迷の一因として、厳格な移民政策(2026年6月9日記事参照)を挙げている。一般に、移民の労働参加率は米国生まれの人々よりも高いため、移民流入の減少は、労働参加率の押し下げ要因となる可能性がある。
業種別にみると、教育・医療サービス業で2万5,000人、建設業で2万2,000人、対事業所サービス業では1万8,000人、それぞれ雇用が増加した(添付資料表2、図2参照)。特に教育・医療サービス業は引き続き雇用の伸びを牽引しているものの、今回の成長率は前月よりも鈍化した。建設部門は、人工知能(AI)データセンター建設のブーム(2026年5月7日記事参照)の恩恵を受けたものとみられる(NBCニュース8月7日付)。
他方、政府部門では5万3,000人、娯楽・接客業では4万人、小売業では1万9,400人、それぞれ雇用が減少した。政府部門での雇用減少は主に地方政府の教育分野で顕著だった。「ニューク・タイムズ」紙は、学校の夏季休暇に伴う季節要因の影響を指摘している。
賃金面では、平均時給は前月比0.1%、前年同月比では3.2%上昇した。この前年同月比の値は、5年ぶりの低水準となっている。賃金上昇の伸びの鈍化とともに、エネルギー価格を中心とする高インフレ率などを受け、労働者の購買力に下押し圧力がかかっている可能性がある。
総じて、7月の雇用統計は市場予想を下回る内容であり、労働市場の減速をあらためて示すものとなった。雇用統計は、連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を検討する材料の1つであり、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)開催前には、8月の雇用統計が発表される予定だ。
(注)雇用統計は、失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。
(大垣ジャスミン)
(米国)
ビジネス短信 9af268a396eeb080





閉じる