第1四半期GDP成長率は前期比年率2.0%、旺盛なAI・データセンター関連投資が牽引も成長に偏り
(米国)
ニューヨーク発
2026年05月07日
米国商務省が4月20日に発表した2026年第1四半期の実質GDP成長率(速報値)は、前期比年率2.0%となった(添付資料表、図参照)。市場予想(2.2%)をわずかに下回ったものの、人工知能(AI)・データセンター関連投資に牽引され、比較的堅調な成長が維持された。
需要項目別にみると、外需は、旺盛なAI・データセンター関連投資を受けて、コンピュータなどの輸入が急増した結果、輸入全体では前期比年率21.4%増と大幅に拡大した。これが、輸出(同12.9%増)の伸びを上回り、純輸出の寄与度はマイナス1.3ポイントとなった。
一方、内需は全体として堅調で、GDPから純輸出、政府消費(4.4%増、寄与度0.7ポイント)(注1)、在庫投資(寄与度0.4ポイント)を除いた民間国内最終需要(注2)は2.5%増と、2025年通年の水準(2.6%増)とほぼ同程度の伸びを維持した。
内訳をみると、個人消費支出(PCE)は1.6%増、寄与度1.1ポイントで、前期(1.9%増、寄与度1.3ポイント)から減速した。2~3月と2カ月連続で1人当たり実質可処分所得の伸びがマイナスとなるなど家計状況は悪化しており、これが消費の伸びの鈍化に影響している可能性がある。
消費の内訳では、財部門は、個人向け減税に伴う税還付の増加の影響(注3)あり、自動車(消費内寄与度0.2ポイント)など一部の耐久財はプラスとなったものの、食品や衣類など非耐久財の需要は低調だった。結果として、財全体では0.1%減、寄与度0.0ポイントとなった。他方、サービスは、ヘルスケア(消費内寄与度0.8ポイント)、金融サービス(同0.3ポイント)などが堅調で、全体では前期比年率2.4%増、寄与度1.1ポイントとなった。
設備投資は前期比年率10.4%増、寄与度1.4ポイントと、大幅な伸びを示した。設備投資の伸びが2桁となるのは2023年第2四半期以来だ。この伸びはほぼ全面的にAI・データセンター関連投資に依存しており、データセンター(設備投資内寄与度0.7ポイント)、情報関連機器(同7.2ポイント)、ソフトウエア(同5.2ポイント)を合算すると設備投資内の寄与度は実に13ポイントに達する。他方、これらを除くと、構築物、機器ともにマイナスが続いている。住宅投資は、前期比年率8.0%減、寄与度マイナス0.3ポイントと、価格や金利の高止まりが引き続き重石となり、5四半期連続のマイナスとなった。
米国経済は引き続き、潜在成長率と同等の水準を維持しているが、設備投資への成長の偏りはますます大きくなりつつある。とりわけ、2022年以降の米国経済を支えてきた個人消費の減速傾向は懸念材料だ。第1四半期は税還付の効果など一部に追い風があったにもかかわらず、消費の伸びは減速した。次の第2四半期には、中東情勢を背景としたインフレへの影響がより広範に表れると予想され、これにより消費が一層下押しされる可能性もある。
(注1)当期は政府閉鎖による前期からの反動増で増加している点に注意。
(注2)家計と企業による国内での最終需要を示す指標。政府支出、在庫投資、純輸出などを除いており、政策による一時的な影響が大きい局面では、民間需要の実勢をより正確に反映するとされる。
(注3)2026年は、トランプ政権下で成立した「大きく美しい1つの法案(OBBBA)」の影響により、税還付額が例年より高くなると予想されていた。
(加藤翔一)
(米国)
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