米税関、IEEPA関税で1,300億ドル超の還付を承認、「フェーズ3」の受け付け開始は延期

(米国)

ニューヨーク発

2026年08月27日

米国税関・国境警備局(CBP)は8月25日、米国国際貿易裁判所(CIT)に対して、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収した関税を還付する「統合通関管理・処理システム(CAPE)」の運用状況を報告した。CBPが還付を承認した金額は1,300億ドルを超えた。一方で、受け付けの開始を予定していた「最終清算済み」の輸入申告に対する「フェーズ3」の還付申請は、システム構築に時間を要しており、受け付け開始時期を延期する。

CAPEでは、(1)電子通関システム(ACE)にIEEPA関税の還付を請求する輸入申告番号(Entry Number)をまとめたCSVファイルをアップロードする「CAPE申請」、(2)IEEPA関税に該当する米国関税分類番号(HTSコード)を削除し、IEEPA関税を申告しなかったものとして還付金額を再計算する「一括処理」、(3)「審査および清算・再清算」、(4)財務省による「還付」の4段階を経る(2026年4月14日記事参照)。

今回のCBPの報告によれば、米国東部時間8月21日午後3時時点で、27万2,029件(前回7月31日時点:25万2,496件)のCAPE申告が提出され、そのうち19万1,494件の申請(前回:17万8,213件)がエラーなくシステムにアップロードされた。今回CBPが指摘したエラーの主な理由は、これまでと同様に、(1)記録上の輸入者(IOR)または申告者が一致していないこと(注1)、(2)輸入申告番号が一致していないこと(例:桁数が不適切、番号が存在しない)、(3)CSVファイルがACEで公開されているテンプレートに準拠していないこと、だった。

アップロードされたCAPE申請のうち、輸入申告ベースでは2,640万件(前回:2,510万件)についてIEEPA関税の還付が承認された。このうち1,876万件(前回:1,769万件)は、清算・再清算を終えた。一方、CBPは590万件(前回:502万件)の輸入申告について還付申請を却下した。却下の主な理由もこれまでと同様に、(1)輸入日がCBPによる90日間の再清算権限期間を過ぎていること(注2)、(2)輸入申告書類にIEEPA関税の算定に使用するHTSコード99類の番号が記載されていないこと(注3)、(3)異なるCAPE申請で既に申告済みであること、だった。

CBPによれば、還付が認められた金額は約1,325億ドル(前回:1,286億8,000万ドル)に達した。IEEPA関税の徴収額は約1,660億ドルのため、金額ベースでは約80%の還付にめどがついた計算となる(注4)。このうち、利子を含めた約1,066億ドル(前回:1,000億ドル)については、財務省において還付金の支払い手続きが進められている。なお、自動決済機関(ACH)に関税還付用の銀行口座情報が登録されていないとの理由から、計17億ドルに上る2万2,170件(前回:計16億ドル、1万9,726件)は支払い手続きが進まなかった(注5)。

6月29日から還付申請の受け付けを開始した、事後清算の「調整(reconciliation)対象」としてフラグが付された輸入申告に対する還付申請(「フェーズ2」、2026年6月25日記事参照)の件数は230万件だった(前回:220万件)。

なお、CBPは「最終清算済み」の輸入申告に対する還付手続きである「フェーズ3」を8月20日から受け付け開始する予定だった(政治専門紙「ポリティコ」8月20日)。だが、CBPは今回の報告で、「最終清算済み申告に対して他の関税調整が行われないことを保証する新たな検証機能を構築するため」、開始時期を延期すると説明した。

(注1)CAPE申請が可能なのは、IOR、またはIORに代わって輸入概要書を提出した通関業者に限られる。

(注2)「フェーズ1」および「フェーズ2」のCAPE申請は、関税が未清算、または清算後80日までの輸入申告を対象としている。

(注3)IEEPA関税などの追加関税が賦課される際は、本来のHTSコードに加え、追加関税対象であることを指すHTSコードが新たに99類に作成される。輸入申告時には、輸入物品のHTSコードに加えて、この99類のHTSコードも併せて申告する必要がある。

(注4)還付金には利子が含まれる。そのため、仮に全てのIEEPA関税が還付される場合、還付額は1,660億ドルを超える。

(注5)ACHは米国の電子送金システムを指す。還付は電子的に行われるため、電子還付プログラムへの登録手続きを行っておく必要がある(2026年1月8日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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