メキシコのシェインバウム大統領、USMCA合意を楽観視

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2026年08月26日

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は8月24日の早朝記者会見で、カナダのマーク・カーニー首相と8月20日に電話会談したことや、米国との交渉状況について発言した。カーニー首相との電話会談については、米国による1930年関税法338条に基づく対カナダ追加関税に言及した。8月20日時点では「両国(米国・カナダ)の意見の相違なく、全てが合意に至るように見えた」と述べた。結果的に米国とカナダの交渉は決裂し、米国は一部のカナダ製品に対して50%の追加関税を発動し、カナダは9月8日から同規模の報復措置を導入する方針だ(2026年8月24日記事2026年8月26日記事参照)。

シェインバウム大統領は続けて、マルセロ・エブラル経済相が8月24日に米国に渡り、米国との交渉のために数日間滞在することを明かした。シェインバウム大統領は、「米国と合意することを期待している。(合意は)メキシコと米国の双方の利益を保証しなければならない」と強調し、「合意に達することができると楽観視している」と述べた。

米国との交渉について、米国側からは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の規定にメキシコが違反しているとして、いくつかの論点が提示されたと述べた(注)。その中で、メキシコから米国への輸出額が増加しており、特に電子機器分野で顕著であることを取り上げた。シェインバウム大統領は「米国で人工知能(AI)とデータセンターのブームが来ている」とした上で、こうしたデータセンター用の電子機器の輸入において、米国側は、メキシコを経由して無関税で米国に輸入する迂回貿易に懸念を示していることを示唆した。メキシコで付加価値が一切加えられることなく、米国への経由地になることは「われわれにとって望ましいものではない」と米国に賛同していることを強調した。

メキシコから米国への輸出額をみると、2025年6月時点で電子機器や機械類が含まれるHSコード84類が、自動車・同部品を含む輸送用機器の87類を上回った(添付資料図参照)。また、2025年末にはデータセンター用のサーバが含まれる自動データ処理機である8471項に絞っても87類を上回っている。主力輸出品であった自動車を超えて、データセンターやAI用の自動処理機の輸出が急増したことがうかがえる。

シェインバウム大統領は、「現在のメキシコの立場は極めて良好だが、さらに有利な立場を確立したいと考えている」と述べ、メキシコが米国との交渉において、他国よりも優位な立場にいることを強調した。

(注)会見で具体的な内容は明らかになっていないが、過去に米国通商代表部(USTR)は外国貿易障壁報告書(NTE)でメキシコの通関システムやエネルギー・鉱業政策を批判している。詳細は2026年5月29日付地域・分析レポート参照

(阿部眞弘)

(メキシコ、米国、カナダ)

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