チリ外相が訪米、米国務長官らと重要鉱物への投資拡大などを協議
(チリ、米国)
サンティアゴ発
2026年07月09日
チリのフランシスコ・ペレス・マッケナ外相は7月6日、米国首都ワシントンで、マルコ・ルビオ米国務長官および米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表とそれぞれ会談した。チリのカスト政権にとって、今回の会談は政権発足後の対米関係強化を図る機会となり、重要鉱物分野への米国投資や人工知能(AI)サプライチェーン安全保障に関する協力強化を確認するとともに、関税問題についても協議した。
米国務省の発表
によると、ルビオ長官との会談では不法移民対策や国際的な犯罪組織への対応を含む地域の治安協力、西半球における民主的統治の支援、チリの重要鉱物分野への米国による投資促進、重要インフラに対する敵対的影響への対応などを協議した。また、チリが6月に署名した「パックス・シリカ宣言」(2026年6月30日記事参照)を踏まえ、AIサプライチェーン安全保障に関する協力を深化させることで一致した。
一方、チリ外務省は会談後の発表
で、自由や民主主義といった共通価値に基づく「戦略的パートナーシップ」を強調した。ペレス外相は「非常に実りある対話だった。両国は民主主義や自由という共通の価値観を有しており、それが両国の友好と発展の礎となっている」と評価した。さらに、チリ政府の投資誘致戦略「Choose Chile」(注)について説明し、米国からの投資拡大を呼びかけた。
会談では、世界経済における重要鉱物の重要性と、重要鉱物分野での協力についても協議した。ペレス外相は「チリは安全で強靱(きょうじん)なサプライチェーンに貢献する準備ができている」と述べ、米国主導の新たな戦略的供給網構築への参画意欲を示した。米国側も、経済安全保障上の連携を視野に、チリへの投資拡大の可能性に言及した。
また会談では、重要インフラにおける敵対的な影響力に対抗する方策についても議論された。米国側はこれまでも、チリ前政権下の通信インフラ計画などを巡って安全保障上の懸念を示した事例があり(2026年2月25日記事参照)、今回の会談でも重要インフラに関する議論が行われた。ルビオ長官は会談後、「ホセ・アントニオ・カスト大統領の指導の下、チリは強力なパートナーであり、両国関係はかつてないほど強固だ」と発信した。
同日、ペレス外相はグリアUSTR代表とも会談した。チリ外務省によると、ペレス外相は米国の関税措置によって影響を受けている産業部門の懸念を伝達し、チリの利益保護と輸出競争力の維持を求めた。外相は2003年発効の米チリ自由貿易協定(FTA)が両国の競争力ある通商関係の基盤となってきたと指摘し、チリ産の重要鉱物、食品、原材料などが米国の生産網において重要な役割を果たしていると説明した。米国はチリにとって第2位の貿易相手国であり、第2位の投資国でもある。
(注)チリ政府が進める外国直接投資(FDI)誘致戦略。テクノロジー、鉱業、エネルギーなどの分野への投資促進を目的とし、減税、安定したルールに基づく長期的な見通しの確保、許認可手続きの迅速化などを通じて、経済成長と雇用創出を図る。
(高橋英行)
(チリ、米国)
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