米国が香港・チリ間海底ケーブル敷設計画に懸念、ビザ免除プログラムへ影響も
(チリ、米国、中国)
サンティアゴ発
2026年02月25日
チリ政府が検討を進める中国企業による香港・チリ(バルパライソ州コンコン)間の海底ケーブル敷設計画を巡り、米国政府が強い懸念を示している。フアン・カルロス・ムニョス運輸通信相が1月27日に同計画の事業権を中国企業に付与する法令に署名したことが発端となった。米国政府は「チリの情報保護体制に重大な懸念が生じている」と指摘。この法令は大臣署名から48時間以内に撤回されたが、米国務省は2月20日、ムニョス運輸通信相を含む政府高官3人のビザを取り消す措置を発表した。
ブランドン・ジャッド駐チリ米国大使は声明で、同計画が「重要インフラに対する安全保障上の脅威となり得る」と述べ、機密情報保護に関するチリ政府の対応を問題視した。また、中国企業が関与する海底ケーブルは、米国との情報共有の根幹に影響を与える可能性があるとして、「チリが他の手段を通じて機密情報やデータを保護できるかについて、ワシントンで深刻な懸念が生じている」と言及した。
また、チリが対象国となっている米国渡航のビザ免除プログラム(VWP)への影響についても注目されている。ジャッド大使は「チリが重要インフラの安全を確保できなければ、情報共有全体の見直しを迫られる可能性がある」と述べ、VWPの継続に影響が及び得ることを示唆した。中南米でVWP対象国はチリのみであり、年間30万人以上のチリ国民が恩恵を受けていることから、チリ国内では高い関心が寄せられている。
一方、チリ政府は、同計画の承認は「主権に基づく判断であり、外部からの圧力には屈しない」と強調。計画は引き続き評価段階にあり、技術・規制・地政学の観点から慎重な検討が必要であるとしている。3月11日に発足するカスト次期政権は、大統領府と関係省庁に対し、正確かつ秩序だった情報提供を求めており、政権移行期における本件の扱いが注目される。
米中双方の戦略的利害が交錯する中、チリ政府の判断は、同国のデジタルインフラ政策のみならず、米国との外交・安全保障協力の枠組みにも影響を及ぼす可能性がある。特にVWPの行方は国民生活に影響が大きく、今後の展開が注目される。
(橋爪優太)
(チリ、米国、中国)
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