ドイツ防衛テックのクオンタム・システムズ、シリーズDで12億ドル調達、企業価値80億ドルに

(ドイツ)

ベルリン発

2026年07月16日

ドイツの防衛ドローン・関連ソフトウエア開発のスタートアップであるクオンタム・システムズは7月2日、12億ドルのシリーズD(注)資金調達を実施したと発表した。調達後の企業価値は、前回調達から2倍以上となる約80億ドルとなった。今回調達した資金は、生産能力の拡大やサプライチェーンのレジリエンス〔強靭(きょうじん)性〕強化、同盟国市場への供給拡大、ソフトウエアおよび人工知能(AI)への投資継続に充てる方針。

今回の資金調達ラウンドは、米国オルタナティブ資産運用大手ブラックストーン、欧州独立系成長株式投資専門のノテウス・パートナーズ、米国プライベート・エクイティー投資大手アドベント・インターナショナル、航空・宇宙・防衛大手エアバスが共同で主導した。クオンタム・システムズによると、企業価値の上昇は、急速な売り上げ成長や収益性の向上に加え、陸・海・空にまたがったマルチドメイン戦略によって確立した市場での地位を反映したものと説明した。

同社は2025年5月にシリーズCラウンドで1億6,000万ユーロを調達し、2025年11月にはシリーズCラウンドの延長で1億8,000万ユーロを調達(2025年12月10日記事参照)。今回のシリーズDはそれから半年ほどでの大型資金調達となる。経済紙「ハンデルスブラット」(7月2日)は、今回のラウンドは欧州の防衛企業による資金調達としては過去最大規模で、同社の企業価値は過去1年間で約8倍上昇したと報じた。

今回の調達により同社は、個別の無人プラットフォームから、同社の無人システム向けソフトウエア・エコシステム「MOSAIC UXS」を通じて接続された相互運用可能なシステム群への移行を加速させる。また、シリーズDと平行して、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースとの戦略的提携の深化についても発表。両社は欧州防衛能力の強化を目指す。クオンタム・システムズによると、2025年には同社システムがウクライナで1万9,000回を超える任務に投入された。また、生産拠点はドイツ、ウクライナ、米国、英国、オーストラリア、ルーマニアおよびバルト地域に拡大している。

今回の資金調達について、カテリナ・ライヒェ連邦経済・エネルギー相は声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ドイツ語)し、同社を「ドイツを代表するスタートアップの成功事例」と評価。また、国が最初の顧客として確実に需要を創出し、市場とビジネスモデルを実証すれば、ドイツ防衛テック企業がグローバルな投資家にとって極めて魅力的な存在となるとした。

(注)スタートアップの資金調達段階は、一般的に次のように分類される。シード:創業前の段階。シリーズA:商品のプロトタイプを作成し、ビジネスモデルを確立する段階。シリーズB:事業が軌道に乗り始め、収益が出始める段階。シリーズC:経営が安定する段階。シリーズD:収益が安定的で、IPOやM&Aなどイグジットを検討する段階(2022年10月25日記事参照)。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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