2022年上半期、アフリカのスタートアップ300社がVCから35億ドル調達

(ナイジェリア、アフリカ)

ラゴス発

2022年10月25日

アフリカン・プライベート・エクイティ・アンド・ベンチャー・キャピタル協会(AVCA)は929日、2022年上半期アフリカのベンチャーキャピタル活動レポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。本レポートによると、2022年上半期は世界的なベンチャーキャピタル(VC)投資の減速が起こる中(添付資料図1参照)、アフリカでは、300社(445件)がVCから計35億ドルの資金調達を行い、前年同期比で2.3倍の伸びを記録した(添付資料「図2 アフリカスタートアップのVCからの資金調達件数の推移」、「図3 アフリカスタートアップのVCからの資金調達額」参照)。

ステージ別(注)にみると、シードステージの案件数は前年比でほぼ倍増した。また、同ステージにおける調達額は約5倍となり、中央値も60万ドルから180万ドルに増加するなど、シードステージの金額規模が拡大した。一方、1億ドル以上の案件については9件で合計13億ドルを調達した。

アフリカの複数の国で事業を展開するスタートアップへの出資が2016年の17件(5億ドル)から、2021年には44件(18億ドル)まで増加した。2022年上半期には42件(15億ドル)となるなど、アフリカのスタートアップはビジネスの横展開やMAを活用して地理的拡大を図っている。例えば、ケニア・ウガンダでソーラーホームシステムを展開するエムコパ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、20217月にナイジェリア、202111月にガーナに進出しており、20223月に7,500万ドルの資金調達を行った。

セクター別にみると、金融分野が引き続き、件数・金額ともに資金を多く集めている(144件、154,000万ドル)。公共事業分野は、全てが気候変動に関する案件で、アフリカ6カ国太陽光発電システムをローンで販売するサンキング外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本社・米国)に対する26,000万ドルのシリーズDが含まれる。また、テック分野の中でもクリーンテックへの投資が増加傾向にあり、ケニア有機廃棄物を回収し昆虫飼料・有機肥料にリサイクルする事業を展開するサナジー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに対する1,900万ドルのシリーズCラウンドが代表される。

(注)スタートアップの資金調達段階は、一般的に以下のように分類される。シード:創業前の段階。シリーズA:商品のプロトタイプを作成し、ビジネスモデルを確立する段階。シリーズB:事業が軌道に乗り始め、収益が出始める段階。シリーズC:経営が安定する段階。シリーズD:収益が安定的で、IPOM&Aなどイグジットを検討する段階。

(馬場安里紗)

(ナイジェリア、アフリカ)

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