ホルムズ海峡通航増を受け米EIAが石油生産増と油価低下予測発表、一方で船舶攻撃再発

(中東、イラン、米国、世界)

調査部中東アフリカ課

2026年07月10日

米国エネルギー情報局(EIA)は7月7日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、世界の石油生産予測を上方修正し、原油価格も低下すると見通しを示した。同発表によると、米国とイランが覚書に署名(2026年6月19日記事参照)し、ホルムズ海峡の通航が増加したことを受け、世界の原油生産量と貿易量が年末までに軍事衝突前の水準近くに回復し、停止した生産施設の多くが2027年第1四半期までに操業再開するとの予測だ。

同プレスリリースによると、6月のブレント原油のスポット価格平均は1バレル当たり85ドルで前月から22ドル安となった。また、EIAは2026年のブレント原油価格平均は1バレル当たり82ドルとし、前月時点予測から13ドル低下との見通しだ。2027年は1バレル当たり65ドルと予測している。

一方、EIAがこれらの見通しを予測したのは2026年7月1日時点となっており、それ以降に再びイランと米国の攻撃の応酬が発生している。

攻撃再開、国連がエネルギー供給懸念を表明

国連の7月8日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、アントニオ・グテーレス事務総長は、米国とイラン間の攻撃再開について言及し、攻撃の応酬は憂慮すべき事態であり、停戦枠組みの外交的な進展を頓挫させる懸念があると述べた。

さらに、国連欧州経済委員会(UNECE)は、攻撃の再開が湾岸諸国の資源に依存する国々の危機を継続させるほか、今後数カ月間は価格が高止まりと資源供給の混乱が続く可能性があるとの予測を示した。加えて、中東情勢が急速に正常化したとしても、2026年は供給混乱の影響は残る可能性があるとした。UNECEは、エルニーニョ現象が引き起した猛暑により、冷房電力の消費量増加やインフラへの影響を懸念するとともに、エネルギー効率化対策・節約、石油備蓄増加の必要性を強調した。また、多くの国で長期的に国内でのエネルギー生産・配電能力や再生可能エネルギーへの投資に対する関心が高まったとした。

なお、英国海事機関(UKMTO)は7月7日付通告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、ホルムズ海峡における船舶への攻撃発生とそれに伴う注意喚起を発信した。一方、IMFと英国のオックスフォード大学が共同で開発した船舶自動認識装置(AIS)情報を基に船舶データを提供する「ポートウオッチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、6月29日から7月5日までの1週間におけるホルムズ海峡における通航隻数(1日当たり)の平均は32隻で、6月の1日当たりの平均15.3隻からは増加していた。

中東情勢の最新動向は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、物流動向は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」を参照。

(井澤壌士)

(中東、イラン、米国、世界)

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