欧州委、外国補助金規則の運用報告書を発表、一部簡素化へ

(EU、中国)

ブリュッセル発

2026年07月21日

欧州委員会は7月14日、適用開始から3年を迎えた外国補助金規則(2022年12月9日記事参照)に関し、同規則はおおむね有効に機能していると評価する第1回報告書を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。報告書は、同規則を外国政府による資金的貢献(FFC)による域内市場のゆがみに対処するという目的を十分に果たしており、大規模な改正は必要ないと評価した。

一方で、企業からは規制対応負担を問題視する意見が示されたことから、欧州委は今後、限定的な簡素化や手続きの合理化を実施する方針だ。報告書によると、企業からは、提出を求められるFFCの収集・報告に伴う事務負担、報告義務の明確化や執行実務の透明性の向上の必要性などが課題として挙げられた。欧州委は、既に簡素化策(2023年7月13日記事参照)やガイドライン(2026年1月15日記事参照)を策定している。しかしながら、同規則の有効性を維持しつつ、さらなる簡素化は可能であるとしており、修正案を今秋までに公表し、2027年に採択する意向だ。修正案に含まれる見込みの事項は次のとおり。

〇企業結合に関するもの

  • 委任法令による売上高に基づく届け出基準の引き上げ。
  • 一部案件あるいはFFCに関する簡易届け出の導入。
  • FFCに関する報告基準の引き上げ。
  • 「域内市場をゆがめる可能性が極めて高い外国補助金」に分類されないFFCを対象にした追加的な報告免除の導入。

〇公共調達に関するもの

  • 届け出および宣言に使用されるフォームの簡素化と明確化。
  • 一部FFCに関する情報開示を制限するための、企業による適用除外の申請枠組みの見直し。
  • 「域内市場をゆがめる可能性が極めて高い外国補助金」に分類されないFFCに関する報告対象の絞り込み。
  • 文書閲覧における機密情報の取り扱いを含めた、企業および発注当局の権利義務の明確化。

中国企業を標的とした実態が浮き彫りに

今回の報告書では、同規則に基づく詳細調査の対象となった事案の大半が中国企業の関わる事案であったことが明らかとなった。報告書によると、これまでに開始された詳細調査のうち、企業結合においては3件中1件が、公共調達においては4件中全件が(2026年5月22日記事参照)、また職権調査(届け出義務のない事案であっても域内市場のゆがみが疑われる場合に、欧州委が自らの判断で調査)の2件はいずれも中国企業が関わる事案であった。これに対し中国は、特に職権調査を中国企業に対する不当な域外管轄措置であるとし、欧州委への批判を強めている(2026年5月19日記事参照)。

(吉沼啓介)

(EU、中国)

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