エボラ出血熱流行、経済損失はコンゴ民主共和国で10億ドル超、アフリカで最大36億ドル、UNDP試算

(コンゴ民主共和国、ウガンダ、アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2026年07月14日

国連開発計画(UNDP)は6月30日、コンゴ民主共和国(DRC、以下コンゴ民)でのエボラ出血熱流行に関する社会経済的影響評価報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。報告書は、今回の流行を単なる局地的な医療危機ではなく、複合的な開発上の緊急事態と位置付け、経済影響を3つのシナリオで試算している。

まず、流行がコンゴ民とウガンダに封じ込められる場合、コンゴ民の実質GDPは1.6%減で10億ドル超の損失、雇用喪失は約5万5,000人と推計された。次に、感染は周辺国に広がらないものの、移動制限や物流遅延、消費者・投資家の信頼低下などを通じて経済的影響が波及する場合、アフリカ全体の実質GDP損失は23億7,000万ドル、雇用喪失は約9万人とされた。さらに、中東情勢に伴う燃料・肥料価格上昇やサプライチェーン混乱が重なる複合危機となった場合、アフリカ全体のGDP損失は36億ドル、雇用喪失は約32万8,000人に達すると試算された。

背景には、今回流行しているエボラ出血熱の「ブンディブギョ株」に対する認可済みワクチンや治療薬がない中で、感染が拡大している現状がある。世界保健機関(WHO)は5月17日、今回の流行が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に相当すると宣言。7月3日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、コンゴ民の累計感染者は1,460人(うち死亡452人)、ウガンダは20人(うち死亡2人)だったとした。症例は主に、コンゴ民東部のイトゥリ州、北キブ州、南キブ州で報告されている。さらに報道によると、コンゴ民北東部では医療従事者が未払いを訴えて抗議しており、現場対応の維持にも課題が出ている。

一方、感染拡大を抑える取り組みも進む。5月には、コンゴ民、ウガンダ、南スーダンの保健相などが集まり、連携して対策を強化することに合意した。6月には、モデルナやオックスフォード大学などが関わるワクチン候補の開発加速が発表された。さらに、7月2日からコンゴ民ではWHOなどの支援を受けて、治療薬候補の臨床試験が始まった。

なお、各国は水際対策を強化している。米国では入国制限(2026年5月21日記事参照)、ケニアでは電子渡航者健康監視フォームへの入力を求める動き(2026年6月11日記事参照)がある。日本では7月13日時点で、コンゴ民とウガンダに感染症危険情報レベル1が発出されており、両国からの帰国者には検疫官への申告が求められている。渡航時には最新情報を確認する必要がある。

(天神和泉)

(コンゴ民主共和国、ウガンダ、アフリカ)

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