米USTR、強制労働産品の輸入禁止措置を巡る関税案に関する公聴会開催

(米国、日本、メキシコ、韓国)

ニューヨーク発

2026年07月10日

米国通商代表部(USTR)は7月7~9日、強制労働を使用して生産された産品の輸入禁止措置を巡り、日本を含む60カ国・地域を対象に、1974年通商法301条に基づいて10%または12.5%の追加関税を課す案について公聴会を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。USTRは6月に、調査対象となったいずれの国・地域も輸入禁止措置を十分に実施していないと結論付け、各国・地域の輸入禁止措置の実施状況に応じて追加関税を課す提案をしていた(2026年6月3日記事参照、注1)。

公聴会で証言した米国の企業や業界団体の多くは、強制労働産品の使用に反対しているという姿勢を明確に示した上で、米国内で代替調達が困難な品目は追加関税の適用対象から除外するよう求めた(注2)。鉄鋼製造業者協会(SMA、注3)のエグゼクティブ・バイスプレジデントであるブランドン・ファリス氏は、米国内での調達が困難な原料として銑鉄などを挙げ、追加関税の適用から除外するよう求めた。全米民生技術協会(CTA、注4)で国際貿易担当バイス・プレジデントを務めるエド・ブリズトワ氏も、追加関税は米国企業や消費者が支払うコストを増加させるとして、関税措置の適用除外対象の拡大を求めた。ただ、追加関税そのものの評価については差異がみられた。SMAのファリス氏は、不公正な貿易慣行に対抗し、米国製造業者にとって公平な競争環境を確保する手段として、追加関税を課す提案を「強く支持する」と表明した。一方、CTAのブリズトワ氏は、関税措置の導入は強制労働の根本的原因への対応や意味ある改革の促進にはつながりにくいとし、国際連携やサプライチェーンの透明性確保といった取り組みに注力すべきと主張した。

各国政府の代表は、強制労働対策を既に実施している、あるいは進めていると主張した上で、関税措置の撤回や税率の引き下げなどを求めた。メキシコ経済省のエルネスト・フェルナンデス次官は、メキシコ政府には強制労働によって生産された商品を市場から排除するための強固な体制が整っているとして、「メキシコを制裁する法的根拠も事実上の根拠もない、新たな関税措置の対象から除外されるべきだ」と主張した(政治専門紙「ポリティコ」7月7日)。在米国韓国大使館で商務参事官を務めるイ・スンホン氏は、韓国はこれまで強制労働産品の輸入に対処するためのガイドラインを策定しており、2025年11月に米国と締結した戦略的貿易・投資協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中でも、強制労働産品の輸入対策で協力することに合意していると述べた。その上で、韓国に対し関税措置を講じることは「適切でも必要でもない」と訴えるとともに、仮に関税措置が必要だと米国側が判断した場合でも、韓国は「提案内容よりも好ましい扱い」を受けるべきだと主張した。

トランプ政権は、通商法122条に基づいて課している10%の追加関税が7月24日に失効した後、強制労働産品の輸入禁止措置を巡る301条関税を課すとみられている。今回の公聴会を経てUSTRがどのような最終決定を下すのか、注目される。

(注1)301条は、外国の措置、政策、慣行が不合理または差別的で、米国の商業に負担や制限を与えるなどと調査を通じて判断された場合に、外国の製品に追加関税など輸入制限措置を講じる権限や、外国のサービスに料金や制限を課す権限などをUSTRに認めている。なお、USTRは6月に日本を含む16カ国・地域を対象に過剰生産能力に関する調査を開始しており(2026年3月12日記事参照)、こちらの調査結果も近々公表される可能性がある。

(注2)証言者の一覧はUSTR発表資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から参照可能。また、公聴会の登壇者が事前に提出したコメントをはじめとする、本調査に関する資料はUSTRのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている。公聴会当日の文字起こしも同ウェブサイトに順次アップロードされる予定。

(注3)電気アーク炉に用いられる鋼材メーカーの業界団体。

(注4)世界最大級の先端技術見本市「CES」を運営する、家電やモビリティーなどをはじめとするテクノロジー関連企業が加盟する業界団体。

(滝本慎一郎)

(米国、日本、メキシコ、韓国)

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