フランス上院、ウルトラファストファッション規制法案を可決、規制強化へ
(フランス、中国、EU)
パリ発
2026年07月06日
フランス上院は6月29日、繊維産業が環境に与える影響を低減することを目的としたウルトラファストファッション規制法案を可決した。同法は衣料品、靴、ホームリネンなどの安価かつ低品質の商品を大量かつ頻繁に市場に投入し、環境に悪影響を与えるウルトラファストファッションを規制し、フランスのアパレル産業と小売業を保護することを目的とする。同法案は、2024年3月からフランス下院にあたる国民議会で審議されていたが、2026年6月24日に下院を通過。今後上下両院による最終承認および公布を経て、施行される見通し。
ウルトラファストファッション規制法では、市場に投入される衣料品の量および販売価格に対する修理費用の割合で、ウルトラファストファッションを定義。一般的なファストファッションと、シーインやテムといったEU域外のプラットフォームが区別できるように制度設計された。具体的には、市場投入される製品ラインアップの規模や修理・長期利用の促進の不十分さを基準として判断され、詳細は今後政令で定められる。また、拡大生産者責任に基づき繊維分野に適用される環境拠出金の賦課基準を強化。生物多様性への影響やカーボンフットプリントを、新たな評価項目として追加する。強化された環境拠出金は2026年9月1日から適用され、2026年中は製品1点当たり0.25~12ユーロ、2030年以降は2~20ユーロに増額されるが、上限は製品価格の50%となる。EC(電子商取引)サイトの小売業者は、ウェブサイト内の価格表示の近くに製造場所を表示することも求められる。同法は、政府に対し、欧州域外から輸入される繊維製品に炭素国境調整メカニズムの適用を拡大する可能性についての報告書を6カ月以内に提出することを求めた。加えて、1年以内に、輸入されるウルトラファストファッション製品に対し、欧州の衛生や社会、環境の基準を課すための措置の導入状況について評価を求めた。
フランスの衣料品産業は競争激化に苦しんでおり、その背景にはECの拡大やファストファッションの台頭がある。繊維・衣料品産業の貿易赤字は120億ユーロを超え、全産業の中で3番目となっている。2024年にフランスに輸入された8億個の小包のうち、90%が中国からの小包だった。フランス政府は不当な競争への対策として、2026年度予算法にEU域外から輸入される150ユーロ未満の小包に対し一律2ユーロの税を課す措置を導入し(2025年10月20日記事参照)、2026年3月1日から施行するとともに、EUに対し越境ECの少額輸入貨物に業者負担の手数料導入を提案していた(2025年5月8日記事参照)。2026年7月1日から、EUで150ユーロ以下の小包に3ユーロの手数料を課す措置が施行されたことを受け、フランス独自の措置は停止した。
(坂本紀代美)
(フランス、中国、EU)
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