カーニー首相、米国の追加関税方針に反発、CUSMA協議強化の意向を示す

(カナダ、米国、メキシコ)

調査部米州課

2026年07月21日

カナダのマーク・カーニー首相は7月20日、米国がカナダ産品の一部に対して新たに50%の追加関税を課す意向を表明したことを受け、声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カーニー首相は今回の措置について、「米国による一方的な措置」とし、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA、注1)に違反するとの認識を示した。

米国のドナルド・トランプ大統領は同日、1930年関税法第338条に基づき、カナダの乳製品、アルコール飲料、自動車部品に対し、米国東部時間8月19日午前0時1分以降に輸入通関される製品を対象として、50%の追加関税を課す大統領布告を発表した(2026年7月21日記事参照)。1974年通商法122条に基づく10%の追加関税などでは、CUSMAの適用品目は追加関税の対象外とされていたが、今回の措置ではCUSMAの適用品目も追加関税の対象となる。

カーニー首相は、「米国はこれまでもCUSMAに違反してカナダに関税を課してきた。これには自動車産業への関税も含まれ、カナダはこれに対し同等の対抗措置を講じてきた」と述べた(2025年2月3日記事2025年4月7日記事参照)。また、CUSMAの共同見直しについて、過去18カ月にわたり通商摩擦の解決に向けた詳細かつ包括的な提案を米国側に提示してきたとし、今後数週間にわたり米国との協議を強化する用意があると表明した。7月1日にオンラインで開催されたCUSMAの見直し協議では、カナダはCUSMAを16年間延長することに積極的な姿勢を示したものの(2026年7月3日記事参照)、米国はCUSMAの延長に応じない姿勢を示していた(2026年7月2日記事参照、注2)。

カナダの自動車部品製造業協会(APMA)会長のフラビオ・ボルペ氏は、CBCニュースのインタビュー(7月20日)で、「338条は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく対世界一律の関税措置とは異なり、特定の国による差別的措置を対象とする規定だ」とした上で、「トランプ政権は338条を他国・地域で他の条件にも適用できるか試しているのではないか」との見方を示した(注3)。その上で、自動車部品を対象とした品目リストには、自動車産業との関連が薄い品目も含まれているとして、「慌てる必要はない」と述べた。

(注1)米国ではUSMCA、メキシコではT-mecと呼ばれる。

(注2)メキシコもCUSMAの16年間の延長を求めている(2026年7月2日記事参照)。米国とメキシコとの間では7月22~24日にかけて3回目の公式協議が行われる予定だが、カナダとの公式協議はまだ行われていない。メキシコのロベルト・ベラスコ・アルバレス外相は7月17日、メキシコが米国と先行して2国間合意を結ぶのではと問われ、CUSMAは3カ国間の合意だと強調した上で「各国間にはそれぞれ異なる2国間課題があり、その解決に取り組んでいる」と述べた。

(注3)これまでに338条を基に関税を課した大統領はおらず、仮にカナダに対して8月19日以降に追加関税を課せば、トランプ大統領が初となる。

(木村勇翔)

(カナダ、米国、メキシコ)

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