中東・北アフリカの成長率、2026年はマイナス0.5%も2027年は7.3%へ回復、IMF経済見通し

(中東、アフリカ、世界、イラク、クウェート、カタール、サウジアラビア、イラン、エジプト)

調査部中東アフリカ課

2026年07月13日

IMFが7月8日に発表した「世界経済見通し(改定版)」(2026年7月10日記事参照)によれば、中東・北アフリカ(MENA)の成長率は、2026年がマイナス0.5%、2027年が7.3%と予測された。4月時点の見通し(2026年4月17日記事参照)と比べて、2026年は1.6ポイント下方修正、2027年は2.5ポイント上方修正されている。ホルムズ海峡の閉鎖期間が4月時点の想定より長期化したことと、2027年についてはベース効果による反動増が理由とした。IMFは、世界の中でもMENA地域において、このような「V字回復」が顕著だと説明した。

MENA地域内でも、国によって状況は異なる。イラク、クウェート、カタールといったペルシャ湾内に主要港がある資源輸出国は、原油・天然ガスの生産・精製の混乱、物流の混乱の影響を最も強く受ける。2026年は大幅な景気の後退が見込まれ、2027年には2桁成長の急回復が予測される。ペルシャ湾外にも港を有するサウジアラビアは、資源の輸出ルートが比較的多様化されているため影響はやや小さく、2026年に1.7%、2027年に5.5%の成長が見込まれる。イランの2026年成長率はマイナス5.4%の予測で、4月から0.7ポイント上方修正された。3月、4月の石油輸出実績が予想を上回ったことや、一部の輸出制限の緩和が理由だ。

資源輸入国では、エネルギーや食料の価格上昇の影響を受けるもの、比較的影響は小さいと分析する。エジプトの成長率は2025/2026年度(注)が4.6%(4月時点予測:4.2%)、2026/2027年度が4.4%(4月時点予測:4.8%)と予測される。2025/2026年度は予想を上回る成長を達成し地政学的な影響を相殺したが、翌年度には投資の鈍化、資金調達コストの上昇など中東情勢の影響がより明確に表れると説明した。

IMFの予測は、7月中旬からホルムズ海峡の通行が徐々に再開され、2027年3月までに紛争開始前の状態に正常化するとの想定に基づく。また、2026年の平均原油価格は1バレル当たり89ドルを見込む。紛争が再び激化した場合、資源価格の高騰とインフレの再加速、新興国からの資本流出などにより、世界経済の成長に悪影響を及ぼすと予測され、見通しは下振れ方向に傾いているという。一方で、人工知能(AI)導入の加速や、ホルムズ海峡の通航正常化の進展は上振れ要因になりうると説明した。

中東情勢と世界各国の動きについては特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」参照。

(注)エジプトの会計年度は7月始まり。2025/2026年度は2025年7月~2026年6月。

(塩川裕子)

(中東、アフリカ、世界、イラク、クウェート、カタール、サウジアラビア、イラン、エジプト)

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