IMFの2026年成長率見通し、中東・北アフリカは1.1%、GCC諸国は2.0%
(中東、世界、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラン)
調査部中東アフリカ課
2026年04月17日
IMFは4月14日、「世界経済見通し」を発表した。報告によると、2026年の世界の実質GDP成長率は3.1%と、前回1月時点の予測から0.2ポイント下方修正された(2026年4月16日記事参照)。中東地域での軍事衝突が世界に影響を与えていると指摘し、IMFは2つの下方シナリオを提示した。衝突の長期化を想定した「悪化シナリオ」では、2026年の世界の成長率は2.5%まで低下するとした。さらに影響が大きく長期化する「深刻シナリオ」では、成長率が2%未満に近づくとの予測だ。
IMFによると、2026年の中東・北アフリカの成長率は1.1%(10月時点予測:3.7%)、湾岸協力会議(GCC)諸国は2.0%(同4.3%)と落ち込むとの予測だ。4月16日に発表された「地域経済見通し(中東・中央アジア)」のプレスブリーフィング
では、ホルムズ海峡において、通常は世界の石油供給量の約5分の1、液化天然ガス(LNG)貿易量の約4分の1が通過しているが、現在はほぼ停滞状態に陥っているとした。また、攻撃や予防的な操業停止により、GCC諸国の石油は日量1,300万バレル、天然ガスで日量350万バレル相当の生産量が減少しているとの推計を示した。なお、ブレント原油価格は一時期1バレル当たり100ドルを突破していた。
資源以外でもGCC諸国は世界の硫黄輸出の40%超、アンモニアおよび窒素肥料の輸出の約20%を占めている。尿素先物価格は約30%上昇し、アルミニウムとリン酸塩の価格も約20%上昇するなどの影響もある。
IMFによると、2026年の成長率は、国別に状況は異なり、カタールはインフラに甚大な被害が生じ、イエメンやスーダンでは経済状況悪化や食料不安がある一方、オマーンでは海上ルートがホルムズ海峡の外側にあるため、影響は小幅にとどまる見込みだ。資源輸入国では低成長となるほか、産油国でもイラン、イラク、クウェートなどペルシャ湾に主要港がある国ではマイナスに陥る見込みだが、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などペルシャ湾外にも港がある産油国ではプラス成長となる見込みだ。
2026年の中東・北アフリカの主要国の成長率は次のとおり(いずれもかっこ内は2025年10月時点の予測値)。
〇GCC諸国
- バーレーン:マイナス0.5%(3.3%)
- クウェート:マイナス0.6%(3.9%)
- オマーン:3.5%(4.0%)
- カタール:マイナス8.6%(6.1%)
- サウジアラビア:3.1%(4.0%)
- UAE:3.1%(5.0%)
〇GCC以外の中東・北アフリカ主要国
- アルジェリア:3.8%(2.9%)
- イラン:マイナス6.1%(1.1%)
- イラク:マイナス6.8%(3.6%)
- リビア:6.7%(4.2%)
- エジプト:4.2%(4.5%)
- ヨルダン:2.7%(2.9%)
- モロッコ:4.9%(4.2%)
- チュニジア:2.1%(2.1%)
- スーダン:0.7%(9.5%)
- イエメン:0.5%(0.0%)
中東情勢悪化と世界各国の動きはジェトロ特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」を参照。
(井澤壌士)
(中東、世界、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラン)
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